勇者さんの旅路。

□ランファンペルデュ7
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ケイトさんが言ってたことが正しければ、
もしくはケイトさんが言ってた事と正しい方へ向かっていたら……


「この辺なんだけど」

「どこ」

温泉街を抜けて広場を目の前にして、右へ向かう。

城が遠くの方、真っ直ぐに見えるから間違ってはいないはず。


『エルメナーム北区』て看板を横目に見て、
そのまま迷わずに真っ直ぐ来た所。

後ろを振り返れば人はおらず、広場が遠くに見える。


「オレ達だけ」

ユキが振り向いたり前向いたり、キョロキョロしてる。

静かどころかエルメナーム北区は、
全く人が居ないような雰囲気さえ漂わせている。

前の方にケイトさんの言っていた、
別れた道が3つ。

北区の建物は白い家が多くて、
訓練所らしき物が見当たらない。


静かで、強い風だけが通り抜ける。
空が少し薄く白くなってきた。

「その分かれ道の一番右の手前……辺り…」

止めていた足をゆっくり歩かせて、それらしい建物を探す。


ゴオオォッッ

そんな大きな音を立てて向かい風が吹く。
思わず手で防いでしまう程の強い風が。

吹き飛ばされそう……


「この辺の建物似すぎててわからねぇ」

俺の後ろをついて来るユキなんか、探す気も無さそうだわ。


白くて屋根がない、縦に長い長方形の建物が立ち並んでいるだけのこの道。

ほら、エルメナームといったら自然で溢れかえっているイメージが強いからさ。

建物も何でも、木とか花とか。


本当に訓練所なんかこんな場所にあるのか
心配になってきた。

常に風が髪の毛を靡かせるから、邪魔で仕方ない。










「風止まないかな…」

「…さっきよりかは弱くなってきた」

「そうだな…」
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