勇者さんの旅路。
□アプファルート4
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「ただいま〜」
部屋のドアを開けると、行くときは閉められていた障子も開いていた。
「おかえりーっ!無事だった〜?」
「おう」
ユキが返事をしては、座布団に座る。
「あれ?布団は?」
「メル君がまだ寝てるから、それ以外は隅に寄せて、テーブル運んだの〜」
「座るといいですよ」
親切に温かいお茶まで入れてくれるアイ。
何だかんだ言って、優しいんだよな。
「あ、そだそだ。昨日の景品袋は?」
座りながら、隣のユキに聞くと
「あそこ」
押し入れの横を指差す。
掛け軸が掛かっていて、壺が置いてある横。
「そういえば見てなかったね〜」
「皆さん、寝ちゃいましたからね」
寝ているメルフェスを気遣ってか、そっと持ってきた袋をテーブルに置くパルテ。
「開けるね〜」
袋口のテープを剥がす。
「む、景品リストがありますね」
アイが袋の中から、小さな紙切れを取り出す。
「何が入ってんの」
頬杖をつきながらお茶を啜るユキ。
「私が出していきますね」
立ち上がって袋の中に手を突っ込むのは、座ってだと背が足りないんだろう。
「眠……」
「早起きしすぎなんだよ」
俺だって叩き起こされたんだから。