勇者さんの旅路。

□アプファルート3
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「パーティは2人じゃ編成できないよね」

「ズルしたんですか。それとも、仲間ができない日々で、受付嬢に呆れられたんですか」

「もう一回冒険者広場に戻ってきたらどうかな」


「待てっストーップ!」

何故か慌てて2人を黙らせる。


「飴ちゃんあげるから……ちょっと静かに、ね?」

黒くて少し長い髪を、後ろでちょこっと結んでいる、

俺よりかは年上だな。


ユキと同じぐらいか、上か。


「飴……?」

メルフェスが、少し吊られかけたが


「駄目ですよ。怪しい人から物を貰っては。飴で子供が吊れると思わないでくださいよ、変態」

「へ、んたい!?」


「おい、腹減ってんだから何かあるなら早くしろ」

そうだ、ユキはもうお腹すいて先に帰ってたんだ。

足止めされて、さぞかし苛々しているだろうな。


「だからっ!景品を渡せって言ってるのですわっ」

ビシッと、パルテの抱える景品袋を指差す女の子。


の、指を

「うるさいよ〜?」

ニコニコと軽く握り、


「きゃぁぁっ!?」

痺れさせたようだ。


温泉街は夕飯を求めて、冒険者らしき格好の人達で賑わい出す。

まぁ、冒険者らしき格好っていうのは


ユキのように見た目からして僧侶。

アイのように魔女っ子な魔法使い、て事だ。



無駄に絡んでくるコイツらは、何か違う。



「んだよ、1位の方が豪華だろ」

「はぁ!?欲しいものが入っているから、そっちをお譲り頂けるか聞いているのですわよっ」


「それが人にモノを頼む態度なんですか、見かけ倒しが」

見た目、お嬢様の様な格好をしているからな。


見た目だけの権利は強そうだ。



「2位の景品は何か良いもの入ってるのか?」

「じゃねぇと、こんなうるさくならねぇだろ」

睨まれた。

………俺まで怒られたんだけど。



「そちらの袋には、沢山冒険者グッズが入っているんだ」

腕を組んで、スーツを着た男が少しドヤ顔。


「1位の景品、何だったの?」

メルフェスが聞くと、

「はぁ?年上に向かってその口の聞き方は何ですって……いたたたっ!痛いですわよっ」

高い位置でツインテールをして、縦に巻いてある薄い紫の頭を、

パルテが撫でていた。


実際、電気が走っているんだろうけど………








「アンタ達、迷惑」


「パルテ、目が笑ってないぞ……?」
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