Angel Life
□フラワーレイン1
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恨むならレヴィディアだ。でもこんな事言っても、色々と言い返されるだろうなぁ…。
ま、ただただ店と家の手伝いをする毎日より、こっちの世界で訳もわからず旅してる方が良いかも。
あたし達は広場を出て、北からヴィーナスレインを出ようとしている。なんたってこの街は広いからね。西と東より、広場からなら北口が近かったんだ。
「あ〜お父さんがね〜」
あたしとヴェンの前を浮遊するレラは、ふわふわの頭を傾げ振り向く。
「冒険者支援局に行って〜冒険者登録した方がいいって〜」
「なんだそりゃ」
隣を歩くヴェンと
「さァ?知らないねェ?」
「ね〜」
前を歩くネイとレラは知らない様子だ。
名前からして冒険者の人達を支えてくれるようだけど、詳しくはレラも聞かずに飛び出してきたみたいでわからない。
「冒険者支援研究局ならフラワーレインにあるな」
「あるェ?カリスゥ、このヴィーナスレインになかったっけェ?」
「ここに冒険者支援研究局を配置してみろ。更に冒険者で溢れかえることになるぞ」
「………迷惑」
「フラワーレイン……と」
皆はどこにその街があるのか知っているみたいだけど、あたしは知らない。調度さっき貰った地図を取り出して見てみる。
ここヴィーナスレインとフラワーレインは、あたしがアーメリアを飛び出して森に着く距離並に近い。
「……闇市探すんじゃなかったっけ」
後ろでボソッと呟く勇人に、
「そういやアイツ言ってたな!おぅおぅ、ムカつくぜ」
別にレヴィディアはヴェンに何かしたって訳じゃないんだけど…。露骨に嫌われちゃってるわ……。
「そうなるとライメイ山なんて行ってる場合では無いな」
そんなわけで目的は変更され、近くのフラワーレインを目指すことになった。その後、ヴィーナスレインに帰宅して、『闇市』なんていう怪しげな名前の情報屋を探すって。
登りたくない山に行かずに済んだ…よかったぁ。
「冒険かァー。命の保証ないからなァ」
まいったなー、なんて言うネイ。さっきまでレラと2人で「楽しみ楽しみ!」とか、はしゃいでいたのに今はため息。
あたしなんか知らない世界で死ぬかもしれないんだよ?そう思うと何か複雑。
この世界じゃ天涯孤独なわけだし…。
「でも旅してたら色んなお姉様方見られるし、いっかァ〜」
何かとオヤジ臭いなこの子。
「私的には世界一周旅行みたいな感じなのだが」
「レラはグルメ楽しむ〜」
「オレもオレも!」
この人達気楽だな…。街の外でどんな危険が待ち構えているかも知らないのに。
「……俺は寝てたい」
勇人は魔物(モンスター)に襲われても大丈夫なのかな…。いや、あたしも危ないんだけど。
この子は見てないと駄目そうな雰囲気がある。
「おぅおぅおぅおぅ!北口に着いたっ」
前方を指差すヴェン。
広場から北口までどんだけ住宅街の中を歩いていたのだろう…。10分以上はかかった。どんだけ広いのよ…。
ヴィーナスレインは城郭都市であり、都市の周りは煉瓦の壁で囲まれている。なんて内側しか見てないあたしは知らなかったし、壁に囲まれている窮屈感を感じなかった。
都市の出入りはトンネルのようになっている。そこを潜れば、もう都市の外なわけだ。
「うわぁ……草原だ」
アーメリアを飛び出した時と変わらない感じがするけど、遠くの方に山が連なっていた。
「あそこら辺の山がライメイ山だぞ」
遠くの山を指さしてカリスが教えてくれた。ライメイ山っていうもんだから、毎日天気が悪くて雷が異常発生してるのかと。そんな想像とは違って、あちらの方は黒い雲1つなさそうだ。
「さっさと行こうぜェ」
「……行くっていうか既にフラワーレイン見えてる」
「本当だ…」