勇者さんの旅路。
□ランファンペルデュ7
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「うっわ……っ」
宿から出たら強い風が体当たりをかましてきやがった。
今日は部屋にいてもわかるくらい、強風だ。
もう冬が目の前まで迫ってきてるこの季節に、この強風は少し辛い。
「……寒」
「帰るなら今だぞ」
「行く」
人一倍寒がりなくせに、ついて来るんだからなぁ……
勿論、ユキ。
パルテとメルフェス、アイは宿の部屋で昼寝でもしてるんじゃないかな?
ビュオオォ、とうるさい街中、温泉街を歩いてエルメナーム城の方を目指す。
ケイトさんが言うには、城の方は
ここら辺とは違って人が少ないとかなんたら。
でもまぁ、こんなに風が強ければ外出なんてしようと思わないだろう。
温泉街も今日はそこまで人がいない。
でも、部屋から見下ろしてた時は賑やかだったけど……
あー、もう夕方だしな。
「帰るの遅くなったら嫌だなー」
「……飯」
「あー。夕食の時間決まってるんだっけ?」
「多分」
ユキの髪の毛が風のせいで逆立ちかけていた。
それを鬱陶しそうに手で押さえつけては、答える。
「んーじゃ、まぁ……遅くなりそうだったら先に帰ってて」
「え…」
「あ……」
「迷子になる」
「だよな、ごめん」
とてつもなく方向音痴だった……