勇者さんの旅路。
□パーティ&パーティー4
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何故かハープ男のおっさんに、
勝負を申し込まれたユキ。
ここ、冒険者広場にて、
小さな闘いが始まろうとしているんだ。
けどさ、まだ1人パーティに入れるとしても
あんなに必死になるもんなのか?
「どうやって勝負するんだろうね」
俺の横に引っ付いているメルフェス。
野次馬共がうるさいからな。
隠れてる、てのもあながち間違ってない。
「そだね〜……ハープ壊しちゃったし」
パルテの手には半分に折れたハープ。
「それもあるけど、詩人ってハープとか弾いて仲間をサポートする職業だし、僧侶のお兄さんだってそうでしょ?
どうやって、勝負するんだろうねって」
「………確かにそうだな」
幼くても考えることは多分、俺達より大人だと思う。
「なるほどね〜。でも、あのハープ男、何もできないんじゃない?」
それも一理あるけど、
「うぉぉおっ」
「ハープの人頑張れ〜」
「僧侶なんかぶっとばしちまえっ」
野次馬のボルテージがMAXなわけで、
ハープが無いにも退くに退けないんだろうな……
ユキとハープのおっさんを囲むように
人が集まっている。
木の上やテーブルの上に上って見たりと
まぁ、凄いこと。
「ねぇ、どうやって勝負すんの?」
かったるそうにして、ユキ。
「ふっ……私は一応、格闘技も心得ている。
安心したまえ、勝負はできる」
「あのドヤ顔がムカつくっ」
「僧侶のお兄さん、攻撃とかできるのかな?」
「うぅーん……わからない」
僧侶って仲間を回復したりする職業だよな?
不安だ……
でもユキは平然としているし、
何か策があるのかもしれない………
「早くやれーっ」
「私はハープの方に賭けますわね」
「あいよぉ!」
どうやら賭けまで始まっているようだ。
「じゃ、オレが勝ったらお前らの有り金全部よこせよ」
ユキが野次馬の群れにそう、言った。
「やれるものならやってみろよ!」
「そうよぉ、僧侶に何ができるっていうのぉ?」
「回復だけだろっあっははは」
ドッと笑いが起きる。
何か、腹立つな……
「全員感電させてこようかな〜……」
「全員殺ってこようかな……」
「全員黙らせてもいいんですかね」
あれ?受付嬢まで隣にいるんだけど。