砂時計

□未来の希望
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世界から完全に孤立した存在。それは世界が干渉できないということを意味する。本来いないはずの存在が何をしても、世界は止められない。
だが一方、世界から孤立した存在であるということは、時の流れの中に自分の生きた痕跡を残せないことをも意味している。

そんなことはわかっていた。わかっていても、それでも、ただ死を待つだけだった世界から抜け出せるなら、そして憧れてきた世界で生きられるのであれば、迷うまでもなかった。

(私はこの世界で生きていく)

大切な記憶が吸い取られていく感覚の中、アカネは最後にそんなことを思っていた。






********

人形のように眠っていた少女がパチリと目を開ける。
視界に映ったのは白い髭を蓄えた老人。

「貴方は…誰ですか」

多少驚きながらも、物腰柔らかに質問するアカネ。しかしその瞳の奥に綺麗に隠されながらも警戒の色が表れているのに気づいていたダンブルドアは、優しさと親愛を込めながらゆっくりと名乗った。

「儂の名前はアルバス・ダンブルドア。このホグワーツ魔法魔術学校の校長じゃよ」
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