砂時計

□未来の希望
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「準備はいいかね」

「はい、先生」

校長室でダンブルドアとアカネは向かい合って立っていた。

「…では、最後に君との約束を確認するとしよう。
まず、儂は君の記憶を、この世界と関係する部分だけ完全に取り除くこと。次に君をホグワーツの事務方全般の助手として雇うこと。そして儂が必要と判断すれば、君を手助け又は止めること。これで良いかな」

「ええ、ただ付け加えるならばあと一つ。

…貴方も自分を大切にしてくださること、と」

アカネの言葉にダンブルドアは目を瞬かせた。

「おお、君は本当にこの老いぼれのことも気にかけてくれているのじゃな。…承知した。儂も可能な限り自分を大切にすることにしよう。」

(こんなのはただの気休めでしかない)

そんなことはアカネもわかっていた。それでも6年後の彼の姿を思い浮かべれば、言わずにはいられなかった。

「それでは始めようかの。

…のう、アカネ。儂は君こそが、自分自身を大切にできるようになる日がくることを祈っておる。君の未来に希望の光が灯るよう、新たなる君に祝福あれ」

そう言ってにっこりと笑ったダンブルドアはアカネが何かを尋ね返す前に杖を一振りした。




世界が、暗転する。


*********

「最後に君が目的を果たすことができた時、君自身も幸せを手にすることができるように。儂からちょっとした贈り物を授けよう」

目の前のアカネにすでに意識はない。ダンブルドアはアカネを静かにベッドに横たえ、杖を再び振るった。

次にアカネが目を覚ます時には彼女はダンブルドアを覚えていない。本の知識もない。そんな相手にどう状況を説明しようか思案するダンブルドアの後ろ姿を、不死鳥だけが見守っていた。
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