□凛ちゃんの帰りを待つはるちゃんシリーズ
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プロローグ





「出張、決まったから」





ある日、凛と遙がいつもの食卓を囲んでいると、凛がぽつりと呟いた。




それまで黙々と箸を動かしていた遙だったが
その言葉にぴくりと眉を動かす。





「……いつから」







「来週」







「どれくらい」






「5日間。
……まぁ、仕事の進み具合によって日数は前後するけどよ」





「……」







箸の動きは完全に止まり、遙はそのまま視線を下に落とす。






5日。
たったそれだけと言ってしまえばそれまでだが、
凛と遙が二人で暮らし始めて
それほどの期間離れた事は今まで無かった訳で。


5日の間、朝から晩まで
凛は家を留守にするのだ







「―――」







「……あ?なんつった」






遙が口を開けて何かを発したのはわかったが
声が小さすぎて
全く聞き取れたものではない。





凛が聞き返すと遙は益々俯いて、
ぼそぼそと繰り返す。






「だから、何だって」





二度目の促しに渋々顔を上げた遙の顔は、
心なしか、赤い。











「……早く帰って来い、
って言ったんだよ」




「速攻で終わらせる」








凛の目に決意の炎が灯ったのも、その瞬間であった。








凛ちゃんの帰りを待つはるちゃんシリーズ





(もっと素っ気ない態度とるかと思ってたら)
(何こいつかわ)













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