□肉食系紳士
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今日は気分になれない、なんて言葉
凛には通用しない。
あれよあれよという間に簡単に組み敷かれ、早くもTシャツを顎の下まで押し上げられていた。

普段は自分から脱ぐくらいだから
今更裸の体を見られても、ましてや男にだなんて
何も気にすることはない。と、いうのに。
こういう時だけは完全に脱がされていないTシャツと、ねっとりとした凛の視線とが、
いつもとは違う異質な状況を物語っていて、
その変化に反応してしまう
自分の体に腹が立つ。

「相変わらずなよっこい体だな――」
「……っ」

するりと脇腹を撫で上げられ、びくりと体が震える。
その様子に満足したか、凛の口角が怪しく上がって、その手を脇腹から胸の突器へと移動させる。




「んっ……くっ…あっ、んくっ……」



声が出そうになるのを必死に抑える自分が妙に思えてくる。




「クッ……何我慢してんだよ。
出しちまえよ、声」


「るさっ……くぅ……あ」




くるりと周囲をなぞったその指は、中心に爪を立て、指の腹で押し潰し、抓り上げてくる。
そのたびに体がまた震えて、
ぴりぴりした感覚が俺を立て続けに襲ってきて。女でも、ないのに。
これも全部、凛のせいだ。


「……っあ、う」


ざらりとした凛の舌がそこに触れたかと思えば
ちゅるりと音をたて軽く吸い上げられる。



「ふ、あ……す……うな」

言葉にしてしまった途端、
はっとして目を見開く。何をやってるんだ俺は。

否定の意を口にしたところで、凛がとめる訳ないのに
寧ろ、凛は――




「なるほどな、それがお好みなわけか」


「ちが……っひ……う、ぁあっ」

更に強く吸い上げられた感覚に、思考がぼやけてくる。


全部の神経が一点に集中しているかのようで、もうおかしくなりそうだ。

いっそ何も考えられなくなりたいのに、
男である自分が乳首になんかで反応することへの羞恥が募って、
それすら阻まれるのだ。






「ふ…くぁっ……り……やめ……っ」


「よく言うぜ。素直じゃないのは口だけだろ」



「いや、だ」




そんな俺をせせら笑いながら、
凛は今度は俺のズボンを一気に降ろす。
下着の中のそれは痛いくらいに主張していて、
顔から火が出そうになる。




「そらみろ……こんなにしてんの、誰だ?」


「ひぃっ……あっ」



膝頭をぐりぐり押し付けられて、
電流みたいなのが体中を駆け巡る。
駄目だ、何が駄目なのか わからない けど。
駄目だ 駄目だ



「もっ……やめ……っ……凛っ……」


「はっ、本当にやめて欲しいか?
こんな喜んでるのによ、なぁ?」




凛の言ってる意味がわからない。
嫌でも体が勝手に反応するのに、それも誰のせいだというんだ。


喜んでなんか、
そう言い返そうと口を開いた時
それを狙っていたかのように
凛が押し潰さんばかりの強さで
ぐっと膝を押し付けた


「っあ……ひぁあっ」





――最悪だ。
何だこの声。しかも俺、今




「へぇ……今日は直で触ってもねーのに
イッちまったな、ハル?」


勝手に零れていた涙をなめとりながら、
凛が耳元でわざとゆっくり、掠れた声で言葉を吐き出す。


――ほんと、最悪だ。
なんかもうしにたくなってきた。


凛は俺に構わず下着を降ろすし、
絡みついた精液を指で救うと、
その指を入口へと赴かせた




「――ん、あ」





くちゅくちゅと穴を広めながら、凛の指が奥へ侵入してくる。





「ひっ…あ……」





「――ハル」




さっきまでの暴君振りは何処へやら、優しい凛の声が降ってきて、
凛の唇が俺の口を塞ぐ



「ん……ふ」



「……大丈夫、だからな」





凛は 狡い。
無理矢理俺をぐちゃぐちゃにしておいて、
いざとなると途端凛はこうなる。


優しげな瞳が俺を映して、またふわりとしたキスが注がれる。



その間も指はゆっくりと中を押し広げ、増やされて。





「入れるぞ、ハル」



「――っく、あ」





凛の自身が宛がわれ
そのままずぶずぶと中へ沈められていく。




圧倒的な異物感と圧迫感が体をつきぬけて、
背中がぐっと反り上がった。




「ひぃ…あっ、あ あ」

「ハル……っ力、抜けって」



そんな事言われても、どうすればいいかわからない。
無意識に体が強張って、痺れて、
痛みかなんなのか解らない感覚が絶えず襲ってきて




程なくして、緩やかであるが
律動が開始される





「ひぃ、ぁあ……!
ふっ……ふぅう……り……!」




後ろを突かれながら
いつの間にか再び勃っていたそれを擦られ、
ますます何が何だかわからなくなる


体中、凛に溶け込んで行くようだった。






「り ん……っおれ」

「あぁ……もう、いいぞ」






再び白濁が腹の上に溢れて
すぐ後に体の中に熱いものが広がって行くのを感じながら、
俺はそのまま逃げるように意識を手放した








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