夢見

□〜真庭家if〜
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尾張学園武道館二階

武道場と違い武道館として
建てられたここに空手部はある










バシッ

パンッ

ダンッ


ぶつかり合う拳、足
畳に踏み込む足音
私は今組手の最中だ


といっても私と相手をしてもらってる
空手部主将真庭蝶々、
その人と私しかいない



もともと部活は無かったのだが
自主トレ兼ねて武道館に来たら
蝶々さんがいたので
組手の相手をしてもらっていた。





正直なところ蝶々さんほどの人でないと
相手にならない。
私は部の副主将なのだから










「猫ーちょっと
休憩にしようぜー」

「あ、はいそうですね
結構な時間やってましたもんね。」


「だよなーあー疲れた疲れたー」





蝶々さんが私の隣に
胡座をかいて座った




ち、近い!!!!



そう思いつつ私は必死に
冷静を装った








「にしても、お前
また強くなったかー?
これじゃ俺も抜かされちまうぜ」



「よく言いますよ、全く蝶々さんの
足元には及びませんってば」













そうかー?
と、言いながら笑う
小柄な主将の横顔を見る
可愛い、でもかっこいい











嗚呼私の思いが届けばいいのに
こんなに近くにいると
鼓動が早くなって落ち着かない








いつも組手をしている時だって
拳や腕が触れあうと熱くて
嬉しくて組手の最中にそんなことを
思うなんていけないのにな……





と自身の手を見つめながら
ぼんやり考えていると










「なにお前手でも痛めたのか?」










蝶々さんが私の顔を覗きこんでいた









蝶々さんの顔が近くにありすぎて

顔が熱くなっていく
気がする





「だだだだだ、大丈夫です。
全く対したことはありませんんん!!」

「いーから見せてみろよ!
見ればわかるんだからよ」










パシッ

腕を捕まれた









私は触れられた混乱のあまり
体勢を崩す









「ひゃあ!?」

「うぉ!!?」





ドタッ









…………………………畳の上に
蝶々さんに押し倒されるような
姿勢になっていた。
顔が触れあうほど近い









「あー悪い猫…」


「あ…いえ……こちらこそ
すみません………」




私は顔を真っ赤にさせながら言った。


蝶々さんの綺麗な瞳が
髪が匂いが鼓動が
近すぎるあまり伝わってきて
頬の体温が上昇するのを感じた










ちゅっ




「んっ………!?」









ふいに口付けられた



一瞬思考が止まった
なんでどうして何故
私は訳がわからなかった





なんで蝶々さんは私にキスを…










少し長い唇を合わすだけの
キスは終わった

蝶々さんの空の色のような
目と目が合う





「悪ぃ…俺我慢できなくてさ……
こんなに近くに……好きなやつが
いるから…」



私はビックリしすぎてなにも
言えなかった







蝶々さんの好きな人が……私?
そんなことが…あるのだろうか







私が呆然としていると
蝶々さんが私から離れた



「悪ぃな……ほんと……
好きでもないやつから…
キスなんかされて嫌だったよな
ほんとすまん…。」




違う!!!




「蝶々さん!誤解です!
私の好きな人は……その…今目の前にいる…
真庭蝶々さん…だけです…」


たどたどしくも言った







振り返った蝶々さんは
すごく優しそうな顔をしていた。




「猫……」


「は…い…………」



「これからは改めてよろしくな!!







眩しいばかりの笑顔を
少し赤くなった顔で言う蝶々さんに
同じく赤くなりながら
私は大好きな人には微笑んだ。






















〜その後仲陸ましく真庭家に
帰った二人の雰囲気に
蝶々に猫を取られたことを
知る真庭家の面々ですが

これは分かれ道からのひとつの
結果の物語であり
実際に起こるかはわからない
そんな仮定のお話〜

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