短篇
□生きる糧
1ページ/3ページ
もし死に場所を選べたとしたら…
ふとそんなことを思った。柄にもないこと。それはお盆という日にあの人の墓の前にいるからかもしれない。
もし死に場所を選べたとしたら、あいつらに看取られて、穏やかに逝きてーもんだな。こんな俺がそんな死に方できるってんなら、死ぬのも悪かーねーな…
でも…とも思う。
そしたらあいつらに辛い思いさせちまうかもしれねー…
そんな思いさせるぐれーなら、一人で逝っちまう方がいいかもしれない。
出会いがあれば別れもある。別れるのが嫌なら出会わなければいい。そうわかっているのにいつのまにか隣には仲間がいて。
ついため息が出てしまう。
誰にも知られることなく死ねたのなら…なんてことまで思ってしまう。