ワタシと標的

□潜入先で
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ここが並森男子高校…。思ってたより普通…。


想像していたような少し危ない雰囲気は全くなく、平々凡々とした普通の学校。

チラリと学校の時計を見れば此処まで来るのに15分しか経っていない事がわかった。急げばもっと早く来れる。


正門前まで来たのはいいが門を乗り越えて中に入る訳にはいかず、ただその場に立ち校舎を見渡すだけだった。


現在時刻は午後14時10分。

生徒達の姿はなく、静かな事から今は授業中なのだろう。


…つまらない。やっぱり少し中に入ろうかな。


気配を断つのは得意、というよりプロなら出来て当然で、一般人に気づかれる心配はまずない。

跳躍しようと足に力を入れたが、人が近づいてくる気配を感じ取り、一旦やめることにした。


「ねぇ君、そこで何してるの?」

「ん?…あぁ。ただの暇潰し」


体勢はそのままの状態で頭を横に動かし、自分に声をかけてきた人物を見た。

スーツを着ていて、黒髪で目つきの鋭い少年。

と言うより、青年と呼ぶべきだろうか。


「へぇ。暇つぶしで僕の並高に無断で入ろうとしてたんだ?」

「…バレてた?こっそり入ろうとしてたのに。残念」


下手な言い訳は通用しない相手だと悟り、入ろうとしていたことを素直に話す。

バレるか否か、そんなこと他の人に聞かなくてもわかる。

なぜなら、相手が雲雀恭弥だから、だ。

バレるバレないではなく、“攻撃してくる”に決まってる。


「もしかして、君も沢田綱吉を狙って此処に来た弱くて群れる人?」

「は?」

「別に僕は興味ないけど、並高に入ろうとした罪は重いよ」


弱くて群れる人と言われ少し苛立ったが、平然とした表情を崩さないようにする。

彼は何処からかトンファーを取り出して構えた。

それに対して私は、今にも攻撃してきそうな相手から少しだけ目を逸らす。


「あー…、ケンカとかあんま好きじゃないんだけど。オレ明後日からこの学校通うし、少し入って校内見たかっただけ。勝手に入ろうとして悪かった」


後頭部を左手でワシワシと掻き混ぜながら気怠そうに装う。


…実際面倒な相手だけど。


「…聞いてた転校生は君なんだ?でもそんなの関係ない。並高に入ろうとしたことには変わりないからね。僕は君を、咬み殺すだけ」


間合いなんてそれほどなかったので、一歩も引かない私と迫って来る雲雀恭弥の距離はすぐに縮まる。


んー、どうしよう。大人しく部屋でコーヒーでも飲んでればよかったか……。
 
 


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