ワタシと標的

□面倒なこと
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予想外の内容に普段出さない大きな声を上げてしまった。一人でよかったとしみじみ思う。
断ってくれてもいいと言ってくれたけど、断ったりしないと言った手前「やっぱり無理です」なんて言えない。プライド的に。
無理という言葉を飲み込んで任務引き受けますと連絡を入れた。
「本当に大丈夫?」と言ってくれたレンさんの優しさが嬉しい。
微笑みながら準備をして、日本に立った。






男子高から徒歩30分かかるらしい10階建てのキレイなマンションの最上階が今日から私が住む部屋。備え付けの家具も申し分ない。


任務中はここが私の家。少し狭いけどキレイだし、鍵はオートロックで景色も悪くはないんけど。……レンさんに任された任務だから頑張るか。


ベランダの手摺りに肘をつけて並森の景色を眺めながら“レンさんに任された任務だから”と自分に言い聞かせる。

いくら任務とはいえ、女である私が男子高に潜入、つまり男しかいない所に潜り込まなければいけない訳で。


…面倒だがこれは仕事。すぐ行動に移すのがプロだ。きっちり熟してみせる。


任務の為、イタリアで胸元まであった髪をバッサリ切り、本来の目の色を隠す為に黒のカラーコンタクトを購入。

更に、胸を潰さなくてはならないのでサラシを巻く必要がある。


つくづくめんどくさい。


さて、学校でも見に行こうかな。


素早く男装をして潜入先に向かった。
 
 


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