短篇集
□北より来たりしもの
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梵天丸が弥三郎の城に来たようです
ある日長曾我部家が住まう四国に奥州からお客様がやって来ました
そのお客様と言うのが伊達家の当主輝宗とその息子梵天丸である
四国に来たのは遊びに来た訳ではありません
長曾我部家の嫡男を見に来るがためでした
このことに長曾我部家の当主国親は少々頭を痛めていました
息子の弥三郎はめったに外に出ず、女子のような格好をし、女子のような遊びをしていたために、巷では「姫若子」と言うあだ名を付けられ、客が来ても挨拶をしにくる事も無く部屋にこもって出て来ないので、各地の武将たちが長曾我部家に押し掛けてくるからです
そして、たまにこの伊達家のように自分の息子を連れ来て部屋から出てこさせようとさせるからです
弥三郎はお客様がくると聞いていつものように部屋に閉じこもっていました
しばらくすると、にゃーと言う可愛らしい鳴き声が聞こえてきました
弥三郎はそっと障子を開け鳴き声の聞こえてきたほうをみると、廊下の突き当たりに期待を裏切ることもなくねこが鎮座していた
そして辺りを見渡して誰もいないのを確認した後、弥三郎はねこが逃げないようにそろりそろりとねこの方に近づこうとした、そのとき
「あっお前、こんなところにいたのか!!」
弥三郎はビクッと肩を震わせ声の聞こえたほうへゆっくりと顔を向けました
そこには、弥三郎と同じぐらいの大きさの男の子が立っていたのです。そして、弥三郎と反対側の目を眼帯で隠し残っている隻眼が自分のことを映していました。
「君はだれ?僕は梵天丸」
隻眼の男の子梵天丸はそう聞いてきました
弥三郎はどのように答えればいいかわかりませんでした
きっとこの梵天丸と言う男の子は今日来たお客様の息子
だとすれば、親の話を聞いているに違いない
ならば弥三郎と答えれば自分のことがバレてしまう
それだけはなんとしてでもまぬがれたい
そうして、考えぬいた答えが
「わ、わたしは姫若子と申します。い、以後お見知り置きを」
とこんな感じに答えたのです
これをかわきりに根掘り葉掘り聞かれる羽目になったようです
あとがき
読んでいただきありがとうございます。オチがない感じになってしまいました。