長篇集
□まさか、こんな事になるなんて
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登場人物はこちらです
『そんな───っ……だ、めぇ』
あるスタジオで行われているアフレコ
「はーい、ストップ」
その言葉でスタジオは静まり返った
「んー元親くん。やっぱりなんか足りないんだよな〜」
「はい、すみません」
「謝ってばっかりじゃなくてさ、何が足りないか考えなきゃね。他の人のとか参考にしてみるのもいいと思うんだ」
「はい」
「じゃっ今日のアフレコはこれにておしまい。この場面はまた最終日に、元親くんはそれまでに何が足りないか考えて練習しておくこと」
そうひとこと告げて監督は出て行った
監督に続いてひとり、またひとりとスタジオを出てにいった
最後まで残っていた元親はスタジオを後にして自身にあてられた楽屋でひとり練習をしていた
(一体何が足りないんだろ)
「何の話?」
「うぉっ!?さ、佐助かよ!!驚かせんなよ。いつからそこにいたんだ?」
「ついさっき。ノックしたの聞こえないほど集中してたんだね。はい、お茶」
「ん、ありがと」
佐助もといい、猿飛佐助は元親と高校からの親友で、元親をこの業界に引き入れた張本人
ついでに言うならば、人気声優である
「で、何の話?」
「いや、な。さっきまでBLドラマCDの収録していて、かくかくしかじかでさ」
「なるほどね〜。親ちゃん台本見せて」
「ほらよ」
「うはっ、親ちゃんもしかして受け?」
「もしかしなくても受けだよ」
「じゃあ、この相手は?」
「元就さんだ」
「へー元就さんなんだ。…………………………元就さんってあの元就さん!?」
「その人以外にこの業界にいるのか?」
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