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□友達以上恋人未満
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翔と別れて、今俺は名前と一緒に帰り道を歩いていた。
さっきの事を俺はめちゃくちゃ気にしてるけど、名前は不自然なくらいに普通で。…やっぱり俺がきにしすぎなのかな。
「…音也?」
「えっ、な、なに?」
どうかした?と俺の顔を覗き込む名前に顔に熱が集まるのがわかった
………………名前って、こ、こんなに可愛かったっけ…。
透明感のある白い肌に、顔の小ささの割りに大きな瞳。……そういえば、最近ものすごい視線を感じるのは名前のせいか!!
なんでこんなに名前が“女の子”に見えるんだろう。…あー、もう本当に翔のせいだ。
「ちょっと、音也?」
「っな、なんでもない!!」
「え、なんでもないってなにも聞いてないけど…って、顔赤いよ?ホントどうしたの?」
心配するように眉をたれ下げながらもしっかりと目を合わせてくる名前から俺は目をそらした
名前は人と話すときには絶対に目を合わせてくる。そりゃ良いことだとおもうけど、今は、今だけはちょっと…キツいというか。
…というか、名前はなんで女の子達を睨んでいたのだろうか。さっきは勘違いかな?とか思ってたけどあれは多分勘違いなんかじゃない。…だって、すごい脳裏に残ってるもん。
…ってまさか、
「名前って好きな人いる!?」
「は?!なにいってんのほんと!」
大丈夫?!と動揺したように声を荒げる名前の肩を掴んでもう一度いるの!?と聞けば名前は目をそらした。
「……いないことは、ないけど。」
若干頬を赤らめながらそう言った名前に俺はやっぱり、と呟いた。
…名前、翔が好きなんだ。
だからああやって翔のことを見にきた女の子を睨んで…。
名前が翔を…なんか、やだな。…え。
ちょっと俺なに言ってんの!?いや、言ってないけど、考えてただけだけど、やだって!なにやだって!!
…あ、あれだよね、あれ、娘に彼氏が出来たときの気持ち?娘いたことないからわかんないけど、そうだ、きっとそう。ずっとずっと一緒だったから、なんか取られちゃったみたいで寂しいだけだよね、そうだそうだ、きっとそう
「なんで、好きなの?その人のこと。」
これだって、ほら。偵察のつもりだ。
どんな人かなって、そんなの誰だって気になることだもんね。うん。
「…すっごい鈍感だし、馬鹿だけど優しいの。
…絶対かなわないけど」
……ぜったいそうだ。
すっごい鈍感かはわかんないし馬鹿ではないと思うけどすっごい優しいし。絶対かなわないとか、彼女がいるから、だよね。
…やばい、心臓が、痛い。わかるよ、なんでか。俺は、そこまで馬鹿じゃない。
「…ねぇ、名前」
「な、なに!?まだなんかあるの?」
「好き。」
「……は?!」
これ、翔が聞いたら絶対馬鹿にするんだろうなー。
翔、俺、翔より一枚上手だよ。
俺って思ったよりも行動派だったみたいだ。
名前は翔が好きだってわかったばっかなのに、俺が名前を好きだってわかった瞬間告白しちゃうなんて。…行動派っていうか、後先考えない馬鹿だと思われるかな。
…でもいいんだ。隠してられるほど嘘がうまい訳でもないし。伝えたかった。
「嘘じゃ、ないからね!」
真っ赤になっている名前を見て、なんだか俺まで恥ずかしくなってきた。というかやっと緊張してきた。
「…………も。」
「え?」
も。って、なに?
…え。まさか、キモイの“も”!?
振られるのは分かってたけどさすがにそれは傷つくっていうか…。
「だっ、だから!私も!」
「…うん、ごめんなんかいきなり。……って、え!?」
「…私も、ずっと音也が好きだった」
どうしよう、すごいうれしい。
名前のまわりにお花が見えたよ、翔。
明日全部翔に話そう。
翔がうざがっちゃうくらい、いっぱいいっぱい。