short

□「love you」
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背は俺より小さくて、可愛いか美人かで言ったら可愛い系で、歳は年下かタメで、俺の事を純粋に好きでいてくれて、なにかに熱中してるような、

そんな人が良かった。





「………。」


横に座って紅茶を静かに飲む女にちらりと視線を向ける。

何故、俺はまたこの人のところにいるのだろうか。



そんな事を考えていれば、彼女も俺に目を向けて。

「っ」

思わずバッと視線をそらした。
隣からはくすくすと笑い声が聞こえる。

「どうしたの?翔くん。」

「…な、んでもねぇッス」

隣に座る、俺よりも7歳も年上…24歳のこの女は、俺の理想とは正反対な人だった。

強いて言えば、“なにかに熱中してる”という部分はないこともない、だろう。



「今日はオフなのね、多忙なアイドル君?」

からかうような彼女の口調にむっとしながらも頷いて「 名前さんもだろ 」と呟くように言った。

人気女優の 苗字 名前。
俺の、好きな人。好きな人だけど、この人は、さいていな女だと、俺は思う。


「……今日、アイツは?」

「あの人がいるとして、私が君を部屋に入れると思う?」

…ほら、最低だ。
こうやって、旦那がいるのに俺を部屋にあげるこの人も、旦那がいるのを知ってて会いにくる俺も、最低だ。

こんな事がバレたら、どうなるんだろうか。
恋愛禁止の事務所に所属している俺が、こんなこと。
普通に考えて、グループ脱退、とか?

彼女は、どうなる?
……旦那とは離婚して、干されて、業界から忘れられて…


「あのさ、翔くん。」

「……なんスか?」

長い髪を、耳にかけながら彼女は笑った。
彼女の癖。でも俺はこの仕草が嫌いだ。

…薬指に光る指輪が、どうしたって目に入ってしまうから。

「もし私達の関係がバレて、芸能界にいられなくなったら、そしたら、」










「私のこと、もらってね。」

にこりと、綺麗な形の真っ赤な唇が弧を描いた。

それも、いいかも。なんて思ってしまった俺はもう末期かもしれない
そんな自分が馬鹿らしくて、苦笑した。




love you

(悲しい瞳で笑う彼女が愛おしくて、真っ赤な唇にキスをした。)








 

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