つきたちぬ

□仕事に行きましょう
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「名前、明日喰と仕事行ってくんね?」



「…了解しました。」




いきなり部屋に呼び出され、嫌いなヤツとの仕事を言い渡された名前。
輪戦闘員一真面目な名前、断ることなどできなかった。そうでなくても、人の好き嫌いで行くか行かない決められるような仕事ではないのだ。




「前、壱號艇が追いかけてた脚力強い能力者いただろ?それの目撃情報があってな。少し遠いが、まあ許せ。」



「分かりました…。」



「喰と仲良くやれよー。」



仲良くなんてできる訳ないと顔を嫌悪に歪ませながら、朔が後ろで笑っていることにも気がつかずに部屋を出た。






☆☆☆☆








能力者が発見されたという街。
月は雲に隠れ、街灯だけが光っている。




「何で僕が君と任務行かなきゃいけないの。」



「そんなの私が聞きたいです。私、あっち行くんで、喰さんはここら辺回ってください。」



一分一秒でも早く喰を遠ざけようと、名前は地上に降りてすぐ喰とは反対方向へ向かった。
しかし、それは叶わない。喰に腕を掴まれたのだ。




「ちょっと待ちなよ(…ちょっと熱い?)。」



「何ですか、離してください。」



少し眉間に皺を寄せる。
そんな名前に喰はにこりと笑いかけると行こうかと言って、そのまま路地裏に名前を引っ張っていった。




「…いい加減離してもらえます?」



「…あれ?もしかして気づいてない?」


「気づいてますけど、腕掴む必要なんてないでしょう。」



「君が殺られたら僕の責任だからね。」



「何ですかソレ、私が弱いとでもッ………何か、来てますよ。」




喰は知っているとばかりに頷いた。喰はやっと腕を離し、二人は路地裏を素早く低飛行した。

追っ手が近づいてくるのを感じる。




「広いところに出ましょう。」



「そんなの分かってるよ。」




恐ろしく落ち着いている二人は建物から離れた空き地に出てきた。
風で周りの木がばさばさと音を立てている。




「………喰さん、」



「うん、……そこだろッ!!」



バチンッ




喰の鞭が大きく音を立てると同時に能力者が茂みから飛び出してきた。
しとめ損ねた能力者が襲いかかってくる。




「さよならッ……と!」



「んーッ…そんな攻撃でいいのかねえ、この俺に。」




能力者は白い髪をなびかせて走りながら名前を見た。喰がもう一度鞭を振ったが能力者は名前から目を離さずに逃れる。




「…キミは、面白いかもしれないねえ。」



「ふざけないで…。」



名前の手が交わる。喰は空中に浮きその様子を眺めた。名前は滅多に技を使わないからだ。




「…ダイヤモンドダスト!」




銀色の粉状のものが能力者に向かう。能力者は笑いながらそれを避けたが、名前が手を能力者へ向けるとダストが拡散する。



「ったー……手加減してよおねーさんッ!」



「!?……はや…ッ」




一瞬のことだった。

喰も息をのむ。




「…ッあ……やめ…」




能力者は自慢の脚力で飛び跳ねたのち名前を掴んで地面に叩きつけ、そしてなんと、名前の首筋に吸いついたのだ。




「ッおいしいねえ、キミ…。熱もあって、あったかいよ、血が。………ッと!」



バチンっ




喰の鞭が能力者の頬に当たる。残った力で名前は立ち上がると既に遠くにいる能力者に向かって攻撃する。


「ッ…ブラックダイヤモンド!」




しかしそれは能力者に命中したものの能力者は逃げて行く。



「喰さんッ…早く、追いかけて……ッ!」




駆け寄ってくる喰を最後に意識はブラックアウトした。





























(ッ喰!?名前はどうした!?)

(朔さん早く!研案塔に!)

(ッ分かった!)




 

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