小説

□忍び寄る潮時 〜知られたくない想いの続き〜
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イノ「急所を二カ所。。。。太い血管も二カ所やられてる。。。。。。あとのキズもかなり深い。。。。。貫通している所もある。。。。。。」




治療を始めたイノがシカマルとチョウジに言う。横たわるゆかにイノが医療忍術を懸命に施す。。。。いつか見た光景。。。。




アスマの時と同じだ。。。。。




シカマルとチョウジはそう感じた。この二度と遭遇したくなかった光景に、嫌な予感を感じずにはいられなかったのだ。





シカマル「イノ、里まで急いで帰れば二十分で着くはずだ。ゆかを今から里に連れて帰る!イノお前は移動中も治療を続けてくれ」




イノ「わかった!!急ぎましょ!!」




シカマルはゆかを背中にのせてもらい、印を結んだ




シカマル「影首縛りの術!」





ゆかの体を影が縛り始めた。シカマルに掴まる事の出来ないゆかが、落ちてしまうのを防ぐためだ。シカマルはゆかにワイヤーを使うのが嫌だった。。。。





じゃあ、チョウジはイノをおぶってくれ、イノは治療だけに専念してくれ!行くぞ!!」





三人は猛スピードで里に向かう。ゆかの初任務の日もこうやって、ゆかをおぶって里に帰った事を思い出す。その時は嬉しくて痛い程しがみついて来たゆか。
しかし今シカマルの背中にいるゆかは、ダラリと完全にシカマルの影に身を任せ、まるで人形を背負っているのではないかと錯覚してしまいそうになる。かろうじてゆかの体から止めどなく流れる温かい血で、人を背負っているんだと確認出来た。







チョウジ「イノ。。。。どうなの??」




シカマルも気になっているのだが、怖くて聞けなかった。。。。



イノ「わからない。。。。。出血がひど過ぎる。。。。急所の治療のより止血するのがやっとだわ」




イノの言っている事は分かる、ずっとシカマルの体からは新しい鮮血が滴り落ちていたからだ。






チョウジ「でも、五代目様なら絶対にたすけてくれるよ!!僕やネジも瀕死の状態から生還したんだもん!!」




この言葉を信じたかった。。。。。全員が。。。。。





木の葉の大門が見えて来た。シカマルは急激にスピードを上げ





シカマル「イノ、チョウジ、俺は先に病院に向かう!門を突破するからコテツさんとイズモさんにワケを話しといてくれ!!それから病院に来てくれ!」





そう言ってシカマルは門を強行突破して行った。門番二人が慌てて出てくる。イノとチョウジはその二人に息を切らせながら、説明をした。。。。。





シカマル「ゆか、もう病院に着くからな。。。。。」




シカマルは子供をあやすような声で言った。しかし背中からは何の反応も感じられずに居た。。。。。





病院の扉を開くと、シカマルはすぐそこにいる医療班に助けを求めた





シカマル「急患です!!!助けて下さい。。。。。!!」




その医療班の者は、最初に血まみれのシカマルにギョッとした。しかし後ろでぐったりしているゆかを見つけると、すぐに状況を察してシカマルを手術室へ誘導した。




医療班「かなり深手を負っているようだね。。。。」




シカマル「。。。。。。はい。。。。」





シカマルは言葉を詰まらせた。そして手術室に入ると、そこには数人の医療忍者とサクラがいた。メンバー全員がやはりシカマルの姿にギョっとする。



シカマル「た、たのむ。。。。早く
こいつを。。。。。」



そう言って背中のゆかを皆に見せる





サクラが信じられないといった顔をしてシカマルに駆け寄る。




サクラはゆかを一目見ただけで『ヤバい』と確信した。そして






サクラ「みんなっ!!緊急オペをするわ!!あと、ゆかと同じ血液型の忍びを片っ端から連れて来て!!あと師匠も!!」





皆がざわめきだした。



サクラ「私の手には負えない。。。。。」




小さく呟いたサクラの言葉にシカマルは、目の前が大きく歪み始めたっているのがやっとの状態になる。
数人の忍びがゆかをシカマルの背中から下しはじめる。シカマルの足下にはもう、血溜まりができていてほとんどの者が覚悟を決めていた。。。。




ベッドに移されたゆかは、片腕をダラリとたらしている。シカマルとお揃いの場所に縫い付けられた額あてを、シカマルはただただ呆然と見つめる。





イノ「シカマル!!ゆかはどうなったの!?」




イノとチョウジが入って来た。しかしシカマルはその問いかけには答えられず






シカマル「。。。。。助かりますよね??」




医療班に問いかける。しかし皆治療に集中しているため、だれも返事をしてくれない。シカマルはサクラのそばに行くと





シカマル「なあっ!?助かるよな!?助けてくれんだろ!?」




かなり取り乱している






サクラ「イノっ!!!シカマル邪魔だから追い出してっ!!!!」




イノはそっとシカマルの腕を掴むと






イノ「シカマル。。。。。皆頑張ってくれてるから信じよう??私も今から手伝うから。。。。。」





そう言ってシカマルを待ち合いに連れ出した。チョウジがみたシカマルの後ろ姿は、今までに見た事の無い別人のようだった。






サクラ「シカマルはなんであんなになっちゃってるの!?小隊長としてあんなんじゃ危険だわ!!」





サクラは事情を知らないので辛口な事を言う。




チョウジ「五代目様が到着したら事情を全て話すよ。。。。」
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