小説

□鈍感は大罪ですよ  〜夢のような一夜の続き〜
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部屋ではシカマルが、ゆかが脱いできれいに畳んだ自分の服を手に取っていた。


洗濯に出すか、そのまま今夜の寝巻きにするか悩んでいた。



シカマル(汚れてねぇしな。。。)


そして、ベッドに腰掛けると、昨日の事を思い出す。
ゆかと同じベッドに入り、しかも手を握った事、今更恥ずかしくなった。


シカマル(俺、マジでどうかしてたぜ。。。ありえねぇ。。。。)


なぜか、ゆかのペースに完全に飲まれている気がした。


シカマル(好きでもねぇ女に、なんで俺が翻弄されてんだ??)



そのままベッドに倒れ込むと、かすかにゆかの匂いが残っている。
シャンプーの匂いか、柔軟剤の匂いか、とにかく自分とは違う匂いに、無意識に鼻で深呼吸していた。



シカマル(。。。。。。。。)


ガバッーーーー

シカマルはいきなり飛び起きると



シカマル「俺は変態か。。。。。?あいつとやってる事一緒じゃねえか/////」



そう言って、ゆかの着ていた服を洗濯かごに放り込んだ。




一方ゆかはー



ゆかは自宅に戻ると、シャワーを浴びて身支度すると、綱手の所へ向かった。




途中、綱手に頼まれていた珍しいお酒を、購入するため昨日も行ったあの酒屋に向かう。



店内に入ると、父と母が造ったワインがかつて陳列されていた棚を、ふと覗いてみた。
やっぱりシカマルが買って行ったあの二本が最後だったようで、もう違う物が並べられていた。



ゆか「本当に、あれが最後だったんだ。。。。」



少し寂しい気持ちになったが、目当ての商品を手に取り、レジへ向かった。



一升瓶を三本、何度も持ち替えながらやっとこさ火影室に到着した。



コンコンー


綱手「誰だ?」



ゆか「ゆかです」



綱手「ああ、入れ」



ドアを開けると、笑顔の綱手が出迎えてくれた。ゆかも笑顔で挨拶する。



ゆか「綱手様に頼まれていたお酒、持って来ました」


そう言って、一升瓶を綱手に渡した。


綱手「悪かったなぁ、相当重かっただろ笑?」


お目当ての酒が手に入り、ご機嫌のようだ。



ゆか「いえ、これ位朝飯前です笑」



すると綱手は手を組みながら



綱手「どうだ?もう大分慣れただろう?サクラからも色々聞いてるぞ。ずいぶん楽しそうだって」


綱手は笑顔で問いかけた。



ゆか「はい。本当に毎日楽しいです笑。少し前の事がウソみたいで。。。。。」



綱手は黙ってゆかを見る。



ゆか「時々、夢だったらどうしようって、怖くなっちゃったりしますが、ここに来てよかったです。。。。」


綱手は椅子にもたれ掛かると


綱手「ゆか、お前は幸せになっていいんだぞ。。。。。。」



その言葉にゆかは、無理に笑ってみせた。



ゆか「綱手様、今日は何をお手伝いすればいいですか?」


綱手「ああ、少し大変だが忍鳥の小屋の掃除と
そこに山積みになっている書類のファイリングを頼めるか?」



ゆか「はい。わかりました」



そう言ってゆかは、シズネに鳥小屋まで案内してもらう。



ゆか「シズネさん。。。。。」



シズネ「なぁに??」



ゆか「シズネさんは、綱手様の御弟子さんですよね。。。。。」



シズネ「そうだけど、それがどうかしたの??」



シズネは不思議そうにゆかを覗き込む。



ゆか「じゃ、じゃあ。。。。私の事。。。。全部、知ってますよね。。。。」



シズネはウソを付いても仕方ないと判断し



シズネ「ええ。多分全て知っているわ」



ゆかは俯きながら続けた



ゆか「サ、サクラは。。。。サクラも綱手様の弟子ですよね。。。。」


シズネは、不安気なゆかの背中に手をあてながら言った。


シズネ「サクラは何も知らないわ。
綱手様は、あなたの事ちゃんと考えてくれているわ。だから何も心配しないで??」



優しく笑うシズネを見上げる


そしてゆかはもう一度、無理して笑った。。。。。



鳥小屋に入ると掃除を始め、鳥達の世話を淡々とこなす。

この小さな鳥小屋越しに里を見下ろすと、かつての自分を思い出して苦しくなる。
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