小説
□夢のような一夜 〜かわいい人の続き〜
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ゆかは徘徊していた。
お弁当を食べる場所を探しているのだ。まさか初日に八百屋の家に上がり込んで
食事するのは、さすがにマズいと思ったからだ。
ゆか(あの感じだと家に入れてくれたかも。。。。明日は頼んでみよ笑)
そして人気の少ない、空き地が目立つ場所まで歩いて来ると、建物の上の方まで続く階段をみつけた。
ゆかは何気なくのぼっていくと、そこにはだだっ広い空間があった。
屋上のようなその場所には、屋根の付いた広いベンチが置いてある。
ゆか「わー、もうこれって、ここで食べなさいって言う事なんだな笑」
そしてその広いベンチに腰掛け、荷物から風呂敷に包まれたお弁当を出した。
そこは里でも小高い所にあるせいか、里と空を同時に見る事が出来る。
真っ青な空に白い入道雲が何とも言えない絶景で、ゆかはそのまま寝転んで空を仰いだ。
その頃シカマルはー
チョウジ「ねえシカマル、お昼一緒に食べようよ」
チョウジが特大のお弁当箱を片手に、シカマルを誘う。
シカマル「チョウジわりぃ、これからオヤジに会うんだよ。。。。めんどくせぇけど」
チョウジ「そうなの?じゃあイノと食べるよ」
そう言ってチョウジはイノの隣に座り、お弁当を食べ始めた。
シカマルは『特等席』でシカクと待ち合わせてる。最近忙しかったせいもあって
しばらく足を運んでいなかった。話が終わったらのほほんとする事に決めていた。
そして階段をのぼっていき、上がりきる前に里を見下ろしているシカクの後ろ姿をみつけた。
シカマル「なんだオヤジ、もう来てたのかよ」
そう言ってシカマルが階段を上りきった所で、振り向いたシカクは人差し指を口元にあてて、シーーーーのポーズをとった。
シカク「先客がいてよぉ」
と、ニヤリと片方の口角を上げて笑う。
シカクの視線の先には、ベンチの上で大の字になって眠るゆかが居た。
シカマル「な、なんでこいつがここに居んだ??」
不思議そうな顔でベンチを横切る。
シカク「はは、多分この状況からして、ここで昼飯食おうと思って、空でも見てたら寝ちまった。。。。ってとこかな?笑?」
シカマル「はぁーーー、なんつう無防備というか、安心しきったといか。。。。」
シカマルは呆れている。そしてシカクの隣まで行くと、里を見下ろした。
シカマル「ところで、なんの話だよ?」
シカク「ああ、そうだったな。。。。シカマル、おまえも知ってると思うが、最近里の外が騒がしい。
もしかすると、めんどくせぇ事になるかもしれねぇな」
シカマル「ああ、そうだな」
シカク「まあ、今すぐにってワケじゃないとは思うが、一応覚悟はしといた方がいいな。。。。」
シカマルは一呼吸置いてから
シカマル「分かってる。。。。オヤジや俺のやるべき事。。。。だろ?」
自分の思った通りの答えが聞けて、満足気に笑うシカク。今自分達が見下ろす里を
どんな事をしてでも守り抜くと、心に誓った。
ゆか「シカマル。。。。」
その声に二人は振り返った。
シカマル「やっと起きやがったぜ。めんどくせぇ事になりそうだ」
しかしそのままゆかは寝転んだまま。。。。と言うか寝てる。
シカク「はは、なんだ寝言じゃないか笑。しかし夢にまでお前が出て来てるみてぇだな笑」
シカマル「全くメーワクな話だぜ。。。」
シカマルは溜め息をついた。しかし、ゆかの寝言はまだまだ続く。
ゆか「や、やだ。。。。シカマル。。。こんな所で。。。」
シカマルとシカクはもう一度振り返った。
ゆか「だめだよ。。。。人が、来ちゃう。。。。。。ま、まだ私たち。。。そんな!!じゅ。。。順番が。。。。」
笑いを堪えるシカク。耳まで真っ赤にして引きつるシカマル。
シカマル「あ、あいつ、どうゆう夢見てんだ!?」
起こしに行こうとするシカマルを、シカクは引き止める。
シカク「くっ。。。くくっ。。。。シカマル。。。。もうちょっとだけ見てようぜ。。。笑」
かなり面白がってるシカクだが、シカマルは冗談じゃ無いとまた歩き出す。
それを阻止するシカク。
シカマル「オヤジ、離せって!!////」
ゆかの寝言も面白いが、息子のこの慌てようも捨てがたい。
シカク「疲れてるみてぇだから、寝かせといてやれよ」
その言葉にシカマルは一瞬ひるんだ。だが
ゆか「だから。。。だめだ。。。って。。。。うれしいけど。。。。ふっ。。。」
シカマル(今のふってなんだよ!!!)
シカクはもう耐えられない様子。
ゆか「じゃ。。。。じゃあ。。。こんかいだけ。。。。ね?。。。」
シカマル「あのバカ!!起こす!!」
シカクも限界だったので、素直に向かわせた。眠るゆかの前に仁王立ちするシカマル。
次の瞬間、思いっきりゆかを揺さぶった。
シカマル「おい!!」
目を覚ましたゆか
ゆか「シカマル。。。。」
そう言って両手を差し出すゆか。いったい何の事だか分からない二人。
ゆか「は、早くしないと人が来ちゃうよ??」
シカマルは、今自分の目の前で起こっている事が理解出来ない。きっとシカクも。。。。。
シカマル「な、なにが??」
疑問だらけの顔でゆかに問いかける。するとゆかは赤くなって
ゆか「ちょ、ちょっと、、、、私に言わせるの??そ、そういう趣味があったんだ。。。。」
シカマルは自分の額から冷や汗が流れるのが分かる。
ゆか「シ、シカマルが影で縛りたいって言うから。。。。こうやって。。。。」
その瞬間シカマルはその場に崩れ落ちた。
シカク「はっは!!はーーーーっはっは!!影で縛るって、、、、はっはっはは。。。っは」
シカクはむせ返った。シカクの存在に気づいたゆかは、完全に取り乱し、パニックになっている。
ゆか「お、おお、おじ様!!、、、い、居たんですか?!。。。あ、あの!!私、本当は。。。。そ、そんなふしだらな娘じゃないんです!!////」
今にも泣き出しそうな程動揺している。
ゆか「シ、シカマルが、、、、息子さんがどうしてもって。。。。。」
その言葉でシカマルは更に深く崩れた。
シカク「ゆか〜、ずいぶんご機嫌な夢見てたみてぇだな笑」
シカクの言葉に周りを見渡す。そしてベンチの横には頭を抱えたシカマル。。。。
ゆかは湯気が出そうな位に赤くなった。
ゆか「や、やだ、、、夢??きゃーーーーーっ恥ずかしい!!!///」
両手で顔を覆う。
怒り狂った鬼の形相のシカマルが、やっとの思いで立ち上がる。
シカマル「お前!!!!アホな夢みてんじゃねぇよ!!!!何がはずかしいだ!!!親の前でそんな事言われた俺の方がずっと恥ずかしいっつうの!!!」
ゆか「。。。。。ご。。。ごめんなさいっ。。。///」
シカマル「だいたい女が昼間っからそうゆう夢をだな。。。。」
急に恥ずかしくなったのか、言うのを止めてしまった。
やっと笑い終えたシカクがゆかに近づく。
シカク「まさかそんな術の使い方があったなんて、思いつかなかったな〜笑」
シカマル「オヤジ!!何言ってんだよ!!」
ゆかはこれこそ夢であって欲しいと、思った。
そしてシカクは
シカク「こんな所で寝ちまうなんてよ、よほど疲れてんじゃねぇのか??」
この間シカマルにも言われた事だ。
ゆか「はい。。。。来週お休みいただきました。今日も収穫のお手伝い、夕方までですし。。。」
そう言うと、ゆかはふと時計をみた。そして次の瞬間、悲鳴のような叫びが
ゆか「きやーーーっ!!こんな時間ーーー!!た、、、大変!!行かなきゃ!!遅刻するっっ!!」
ゆかは荷物を素早く取り、シカクにお辞儀をし、猛ダッシュで階段に向かった。ふとベンチに目をやると、風呂敷に包まれたお弁当箱が、置き忘れてある。
シカク「おい、ゆか!!これ忘れてるぞ!」
お弁当箱を持ち上げる。
階段を降りかけていたゆか は顔だけこちらに向けて
ゆか「もう時間が無いので、良かったら食べてくださいー」
そう言って、嵐のように去って行った。
シカマル「ほんと騒がしいやつだぜ。。。。」
はあ、と小さな溜め息をついてからベンチに座った。そして雲を見上げる。
シカク「これ、ダメにしちゃあ勿体ないから、いただくとしようか笑」
シカマル「しかしこれ、女の食う量なのか?2人前はありそうだぜ。。。。」
風呂敷を解いて蓋をあけた。
シカク「上手に作ってるじゃないか。しかし本当にこの量を、一人で食べるつもりだったのか?笑?」
二人は好物の卵焼きに手を伸ばし、口にほうりこんだ。
シカマルは少し驚いたように
シカマル「ウマいな。。。。」
シカク「ほんとだな」
シカマルはナルトが言っていた事が、あながちウソでは無いんだと思った。
その後シカクは火影の所に行くといい、シカマルは当初に予定通りのほほんとする事にした。