小説

□かわいい人 〜苦手な女の続き〜
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ゆかはお店の制服に着替え、事情を話して濡れた服を干してもらった。


それから仕事の段取りを教わり、細々な指示をもらう。

昼には客がゾロゾロと来店したがそつなくこなす。


話しかけて来る客にも笑顔で対応し、あっという間に時間が過ぎる。
小さなミスはあったものの、無事仕事を終えた。


乾いた服を受け取り、ゆかは上がりの時間だ。



ゆか「今日一日ありがとうございました!明日からも頑張りますので宜しくお願いします」


深々とお辞儀をして、店を後にした。




ゆか「は〜〜〜、疲れた。久しぶりの肉体労働はきついな〜」


それでもゆかは、この疲れがなんだか心地よかった。


ゆか「ただいま〜」


誰もいない部屋にそう言って入る。
そのまま風呂場に行き、お湯をためて
冷蔵庫から冷えたビールを取り出した。



一気に半分飲み干すと



ゆか「う〜〜〜ん。やっぱ労働の後のコレは最高!!」


そういうと、残り半分も飲み干した。


それから風呂に入り眠りにつく。
この同じような毎日が続き、2週間経った朝。




ゆか(さて、今日でお店終わりか〜。やっぱちょっと寂しいな。なんかあっという間だったもんな〜)


名残惜しげに制服を鞄に詰め込んだ。
そして意気揚々に仕事場に向かう。


開店準備を早々に終わらせ、感謝の思いを込めて
店中をピカピカに拭き上げた。




その頃サクラは、一度もゆかの職場に顔を出していないからと
ナルトとサイを誘ってゆかの働くお店で食事する事にした。



お昼のピークを外して行ったはずなのに、店内は客でごった返してる。



サクラ「あれー?このお店いつもこんなだったっけ??」


ナルト「いや、こんなの初めてだってばよ。なんか新メニューでも始めたのか??」


そこに店主のおじさんが忙しげにやって来た。


おじさん「いらっしゃい!ごめんね〜今机の上片すから、ちょっとだけ待っててくれる??」


サクラ「あ、全然大丈夫ですよ。なんかすごく繁盛してますね!」


おじさん「そうなんだよ〜、お手伝いの子が来てくれてからこのとおり
大繁盛で、嬉しい悲鳴だよ」


そうゆうとおじさんは机の上を片付け始めた。


ナルト「お手伝いの子ってゆかの事だよな??」


サクラ「そうみたいね。よく見てみたらお客、男ばっかりじゃない」


サクラはなるほどと思った。


ナルト「やっぱゆか目当てで来てるのかな〜。暇なやつらばっかりだってばよ!!」


その様子を見ていたサイがやっと口を開く。



サイ「ナルト、その、ゆかって女の人そんなに奇麗なの?」


ナルト「ああ、メチャメチャ奇麗だってばよ!!と言うか、可愛いって感じかな?なぁサクラちゃん」



サクラ「そうね、ゆかは可愛いって感じよね。ところでサイ、あんた気になるの〜〜〜??珍しい」


サクラはからかうように言ってみた。



サイは赤くなって答える。


サイ「い、いや、そうじゃなくて、先に彼女の情報があったほうが
あだ名が付けやすいかなと思って。。。」


サクラ「別に急いで付けなくてもいいじゃない?あ、ほら席が空いたよ」


そう言ってキレイに片された机に三人で腰掛けた。

奥からお冷やを運びに来たゆかは
サクラ達の突然の来店にビックリしている。


ゆか「うそ、来てくれたの??すっごくうれしいんだけど!!」


そう言ってお冷やを置く。


サクラ「一回位顔出しとかないとね〜。
ちょうど三人でご飯食べようって話してたからだったらゆかの所でって」


ゆか「ナルトも来てくれてありがとう。同じアパートなのに、あれ以来会ってないよね」


ナルト「そうだってばよ。意外と会わないもんなんだな。それと、こいつ初めて会うだろ??」


といってナルトはサイの肩に手を置いた。


ゆか「うん。はじめまして、ゆかです。今日はご来店ありがとうございます笑」


笑顔で挨拶するゆかを、サイは食い入るように観察する。


ナルト「サイ、お前ちゃんと挨拶しろってばよ!!」

ナルトに促され、サイは笑顔をつくり


サイ「初めまして、サイと言います。サイって呼び捨てしてください」


ゆか「サイ、ね。私もゆかって呼び捨てにしてね」


しかしサイは


サイ「あ、あの。。。。僕、あだ名考えるのが得意なんで、あだ名で呼ばせてもらってもいいかな??」


ゆかはあだ名なんて付けてくれるのかと喜んだ。

その一方サクラとナルトはハラハラしている。


サクラ(サイのやつ、また変な事言い出したりしないでしょうね。。。。。
ま、ゆかに関しては、見たままだったらおかしな事にはならないだろうけど。。。)


ナルト(こいつ空気読めないからな〜。。。なんか嫌な予感がするってばよ。。。。)


二人の心配をよそに、サイは考えてる。


サイ(見たままなら、大体決まっているんだけど
それじゃあ面白くないから。。。。たまにはひねってみるか。。。)


サクラ「サイ、ゆかは忙しいのよ、早くしなさいよ」


平気平気というゆかに、サイはやっと決まったあだ名で呼んだ。



サイ「じゃあ、これからもよろしく。。。。ホルスタイン」



三人の目が一瞬点になる。
サイはいつものニコニコ顔で、満足気。


次の瞬間、サクラのパンチがサイの顔面にヒットする。


ナルト「サササ、サイ!!てめぇ〜それ完全にセクハラだぞ!!!謝れ!!
今すぐ謝れ!!」


ゆか「サクラ、ナルト、いいのいいの、一瞬ビックリしたけど。。。笑。でも、この事に触れられたの初めてだから
なんかかえってスッキリしたというか、清々しいというか。。。。。」



ナルト「意味わかんないってばよ。。。。」



ゆか「それより何食べるか決まった??」


サクラ「あ、そうだ。私達食事に来たんだったよね。。。。サイが変な事いうから!!!」


サイは止まらない鼻血と格闘中。



ゆか「サイ、大丈夫??サクラ手加減無しだね。。。笑。」


サクラ「こうゆう奴にはコレぐらいでいいの!!」


ゆか「はは、なんか責任感じちゃう。
じゃあ、注文決まったら呼んでくれる?私ランチメニューの看板下げて来るから」


そう言ってゆかは店先の看板を取りに行った。
ふと隣の大通りに目を向けると、見覚えのある人物を発見。ゆかはシカマルをロックオンするや否や、走り出した。


ゆか「シッカーマルッ!!」


もう何度この状況を体験したのだろうと、シカマルは顔を引きつらす。



シカマル(まためんどくせぇのが来やがったぜ。。。まさか俺は幻術にでもかかってるのか?)



そんなまどろっこしい事考えているうちに、まんまとゆかに捕まってしまった。


ゆかは肩で息をしながら


ゆか「きゃー、こんな所で会うなんてすっごい偶然!!やっぱ私達こうなる運命なんだね。。。。」


しみじみ語るゆかに対して



シカマル「お前、今向こうから走って来ただろ!?偶然っつぅのはたまたまバッタリ出会う事を言うんだよ!」



ゆか「まぁまぁ、そんな細かい事は気にしないで。それよりシカマル、お昼食べた??」



相変わらずなゆかに言い返す気力も無く、シカマルは諦めた。



シカマル「まだ食ってねぇよ」


一瞬しまった!とシカマルは思うが時既に遅し。


ゆかはシカマルを引っぱりながら歩き出した。


ゆか「実はねー、今サクラ達がうちのお店に来てくれてるの〜。だからシカマルも一緒に食べて行きなよ!!」


とっても嬉しそうなゆかとは反対に、とっても嫌がってるシカマル。


シカマル「おい!!こら!!引っ張んなって!!!。。。おいって!!人の話きけよ!!」



あっという間に、店の入り口まで攫われて来たシカマル。そして店内に押し込まれる。


ゆか「サクラー!!そこで偶然シカマルに会っちゃってさ〜、食事は大人数の方が楽しいと思って誘って来ちゃった〜笑」



シカマル「ウソつけ!!!!俺は一言も行くなんて言ってねぇよ!!それになにチョウジみたいな事言ってんだよ!!」


ゆか「え〜〜。。。。だって。。。私もこれからお昼だからさ。。。。」



シカマル「なっ。。。!!お前がただ大勢で食いたいだけだろうが!!俺を巻き込むんじゃねぇよ!」



エキサイトするシカマルに対して、どんどん小さくなって行くゆかが、あまりにもかわいそうで


サクラ「シ、シカマル!!店先でそんな大声ださないの!それにたまには私たちに付き合ってよ!ね?」


ナルトも頷く。サイはまだ格闘中。



シカマルはその言葉に、必要以上に取り乱した自分が急に恥ずかしくなり
大人しく席に着いた。



シカマル「はーーーー。ほんとめんどくせぇよ。毎日毎日。。。。。」


シカマルの独り言に、ナルトが反応した。


ナルト「なぁ、シカマル」


シカマル「あ?」

かなりご機嫌ナナメのご様子


ナルト「毎日ってどうゆう事だってばよ?」


その問いに、シカマルはめんどくさそうに答える。


シカマル「言葉の通りだよ。。。あいつ、なんかしら理由付けて俺の前に現れやがる。。。。」


はーーーーーっと深い溜め息と共に、メニューを開いた。


シカマル「お前らもう注文したのかよ?」



サクラ「あ、忘れてた笑!!なんかこのお店入ってから色んな事があり過ぎて」


ナルト「そうだってばよ、サイのセクハラ発言とか」


シカマル「なんだそれ?」


サクラ「話はあとあと、早く頼んじゃいましょ!シカマルはサバの味噌煮でしょ?」


シカマル「は?俺言ったっけ?」


サクラ「そうじゃなくて、イノが前に言ってたんだよ。
シカマルは食べ物の好みまでじじくさいって笑。だから覚えてたんだ〜」


シカマル(あいつ、覚えとけよ)


ナルト「俺は焼き肉丼大盛り!」

サイ「僕はお蕎麦にするよ」

サクラ「じゃあ、私は親子丼にしよーっと。じゃあ、頼んじゃうわよ〜」


やっと注文出来た。いったいここに入ってから、どれだけ時間がたったのやら。
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