小説

□かわいい人 〜苦手な女の続き〜
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火影部屋ー


綱手「ゆか、部屋の方は落ち着いたか?」

I
せっせと掃除をしているゆかは、一旦手を止めて答えた


ゆか「はい!大分落ち着きました。昨日は町で買い物も出来ましたし」



それは良かったと微笑む綱手は、書類に手を伸ばした。

それを見てゆかもまた掃除を始め、昨日シカマル一行と出会った事を
楽し気に報告した。



綱手とシズネは、時折クスクス笑いながらその話を聞いていた。


一通り掃除を終えたゆかは

ゆか「では綱手様、今から商店のお手伝いに行ってきますね
それと、お手伝いに行けるスケジュール、机に置かせていただいたのでお手隙でみてください」


綱手「あぁ、ご苦労だったな」



綱手はすぐさまそのスケジュールの書かれたメモに目を通した。


そしてドアから出る寸前のゆかを呼び止めた。


振り返るゆかに、メモに目をやりながら綱手は


綱手「ゆか、お前これではまるっきり休み無しじゃないか。そんなに詰め込む事ないだろう?」


ゆか「いえ、これまでのんびりし過ぎていたので、少しハードな位がいいんです」


ゆかの言葉にもう一度メモを眺めながら、溜め息まじりに綱手は言う。



綱手「しかしだなぁ。。。これじゃあ体がもたんだろう??」


心配する綱手をよそに


ゆか「本当に平気なんです。むしろ余計な事考える時間が無くて済みますし。。。。」


綱手はゆかが言わんとする事を察し、それ以上は何も言わずに笑顔で見送った。




木の葉の商店街ー



ゆかが2週間お世話になるのは、
木の葉の商店で老夫婦が営む食事所。

とても気のいい夫婦で、あっという間に打ち解けた。
さっそく店先の掃除を始める。


だんだんと太陽の日差しが強くなって、じりじりと突き刺すような暑さ。
頼まれていた水撒きをするため、店先にある水道にホースを差し込んだ。


最初は丁寧に水を撒いていたゆかだが、時折見える小さな虹に夢中になり
とうとう通りの端まで届きそうなアーチを作った。


さっきとは全く規模の違う虹をに心躍った。




そんな光景を、たまたま通りかかったイノ、チョウジ、そしてシカマルが遠くから見ている。



イノ「そう言えば今日から商店で働くって言ってたわね」


チョウジ「そうだね。でもあれって働いてるって言うより、遊んでるみたいに見えるね。笑」


イノ「あはは、ほんとほんと〜。笑」


シカマルはアーチの中の虹に見入っている様子だが
このままゆかに出くわすのは正直めんどくさいと思っていた。


しかしイノとチョウジはそのまま歩き出している。
仕方ないとシカマルもその後に付いて行く。



遠くに見えるゆかを観察していると、少し慌てている様子。

ホースの先を覗き込んでいる。
どうやら撒いていた水が止まってしまったようだ。


ホースを振ってみたり上げたり下げたりしている。
しかしここに居る3人はなぜ水が止まったのか知っている。


ホースが途中でねじれてしまっているからだ。
それになかなか気づかないゆかに
イノはむせかえる程笑う。
そして次の瞬間、3人が想像していた通りの結果に。



もつれていたホースが解けて、先端を覗きこんでるゆかの顔に勢いよく水が飛び出した。


ゆか「きゃーーーー!!なにこれーーー!!」


すぐさまホースを手放したが、時すでに遅し。
ゆかは上半身ずぶ濡れに。



ゆか「うわ〜、最悪。なんでこんな事に。。。。。」



放り投げたホースを重い足取りで拾いに行くゆかの後ろから
呼吸が止まるんじゃ無いかと思う位、大爆笑しているイノが声をかけて来た。



イノ「ゆか〜、朝っぱらから勘弁してよ〜、私を殺す気〜??」



振り返るゆかは、涙流しながら笑うイノの後ろにシカマルを見つけた。



ゆか「シカマルー!おはようー!!まさか会いに来てくれたの〜??」


と満面の笑みで駆け寄る。



シカマル「んなわけねぇだろ!っつかお前自分の置かれてる状況かわかってるのか!?」


このゆかの能天気振りに心底あきれ顔。


確かに髪も服もずぶぬれで、手に持ったホースからはまだ水が出ているため、
跳ね返りで足下は泥だらけ。



ゆか「あ、そ、そうだね。とりあえず水を止めて来るよ」



そそくさと水道の水を止めに行き、その足でまたシカマル達の元へ戻った。




イノ「ホント四コマ漫画観てるみたいだわ笑!!てか声かけたの私なんだけどぉ?」




ゆか「ごめ〜ん、嬉しさのあまりついつい////。   イノ、チョウジおはよ」



チョウジ「おはよう。なんか大変な事になっちゃってるね。。。。」


イノ「なになに、今日からここで働くの〜??」



ゆかは体の水滴をハンカチで拭いながらうんと言った。




ゆか「でも、ここは2週間だけなの」


イノ「え?なんで?」


不思議そうなイノに対してゆかは続けた。



ゆか「綱手様がね、早く里の皆と馴染めるように、2週間単位で色んな所を回れるようにして下さったの」



イノ「へー、そうなんだ。その方が色んな人に知ってもらえるね」


ニコリと笑うイノにシカマルが、待ちくたびれたように話しかける。



シカマル「おい、イノ、今から火影様の所に行かなきゃなんねぇんだから
こんな所で油売ってる場合じゃねぇぞ」



めんどくさそうにポケットに手を入れ
顎で行くぞとイノに言う。


ゆか「え?もう行っちゃうの?寂しいよ〜。」



シカマル「お前仕事中だろ!ほんとめんどくせぇーな」


そう言ってシカマルは歩き出してしまった。

イノとチョウジはバイバイと手を振る。


しかしゆかはシカマルを追いかけ
る。


ゆか「ねぇねぇ、シカマル、今日は何時にお仕事終わるの??」


シカマルは無言でジロリとゆかを見る。そして



シカマル「知ってどうすんだよ」


ゆか「そりゃ〜デートでもしないかなーと思って」


かなり引きつった表情のシカマルは



シカマル「するワケねぇだろう。。。まったくお前の頭の中覗いてみてぇよ。。。。」



ゆか「きっとシカマルでいっぱいだよ〜笑////」


そう言って照れ笑いするゆかにシカマルは
より表情を引きつらせ



シカマル「お前本当にめんどくせぇー。。。。つうか早くその格好をどうにかしろ!そして仕事しろ!」



そう吐き捨てて行ってしまった。


相変わらず冷たくあしらわれるが
今日もシカマルに会えた事が嬉しくて嬉しくて
ゆかは俄然張り切った。
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