小説
□初めての大きな里
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里をずいぶんと歩いて、やっと火の文字が書かれた建物の前までやってきたゆかは
その大きな建物を見上げ、ひとつ深呼吸をして
門を開けた。
火影の部屋の前に到着すると
コンコンと、控えめにノックした。
綱手「誰だ??」懐かしい声が聞こえると
嬉しくなったのか、弾むような声で
ゆか「ゆかです!!綱手様」
綱手「ああ、ゆかか、入れ」
ドアノブに手をかけて、一気にドアを押した。
そこには笑顔の綱手。
綱手「ゆか、よく来たな!!長い道のりごくろうだったな」と、労いの言葉をかけてくれた。
さらに笑顔で
ゆか「綱手様、お久しぶりです!!この度は本当にありがとうございました」
そういうと、深々とお辞儀をした。
隣で寄り添うシズネもにこりと微笑んだ。
綱手は挨拶もそうそうに
綱手「ゆか、今まで本当に色々大変だったな。木の葉の住人は、皆いいやつだ。すぐに馴染めると思うぞ」と、優しくゆかを見つめた。
まっすぐに綱手を見つめ返したゆかは
ゆか「はい。私自身も皆に仲良くしていただけるように、頑張ります」
ゆか「綱手様、私を木の葉に呼んでくださった事、心から感謝しています」
「それに、お仕事や住む場所まで準備していただいて。。。。。」
ゆかは申し訳なさそうにうつむいた。
綱手「何言ってるんだ、私はお前の祖父母には世話になったからな。こんなものじゃ足りないくらいだ」
ゆか「で、でも私なんかを。。。」
言葉を言い切る前に
綱手「ゆか、お前はもう忘れろ。今日からは木の葉の人間として暮らすんだから、これからの事を考えるんだ」
少し強めに言った。
綱手「木の葉は大きな里だ。仕事も住む場所も、有り余ってる程だ。お前が来てくれた事で、人手不足が少し解消されたよ」
と、今度は優しく、促すように綱手は言う。
ゆか「はい。そうなれるように頑張ります」
そう言うと、拳を上に上げた。
シズネがクスリと笑った。
コンコン
ドアの向こうからノックと共に
「サクラです」と声がした。
綱手「入れ」
部屋に入ってきたサクラに、にこりと笑って
お辞儀をする。