小説
□彼女の背負うモノ〜忍び寄る潮時の続き〜
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次の日ー
ゆかの病室の前で少し緊張気味のシカマルが、ドアをノックした。
ーコンコン
ゆか「はい」
ドアを引くと、笑顔のゆかがそこにいる。。。。と、同時にイノが。。。。
イノ「あら〜〜〜、シカマル、今日もご苦労様ね〜〜〜笑」
シカマルはインケツを引いたような顔で、その場に凍り付いた。
シカマル(うそだろ。。。。。。まさか。。。。昨日の事話してねぇよ。。。。な??)
おそるおそるゆかのもとへ歩み寄る。
イノ「あのさ〜。。。。。」
シカマル「なっっ!!なんだよ。。。。」
不自然まるだし。。。。。
イノ「は?あんたに話しかけたんじゃないわよ笑。なに焦ってんの??」
シカマルは自分でも聞いた事無いような声が出てしまい、勘の鋭いイノにバレたのではないかとヒヤヒヤしている。
シカマル「焦ってなんかねぇよ」
イノ「ふぅ〜ん。。。。。」
シカマル「で、なんだよ。。。。。なんか言いかけてただろ」
イノ「あ、そうそう!さっきサクラに聞いたんだけどさ、ゆか来週には退院出来るみたいね!」
ゆか「ああ、そうそう。なんか私、超人的な回復力みたい笑」
イノ「ははっ!!まるでナルトね!もしかして尾獣かってるんじゃないの〜笑?」
ゆか「尾獣??なにそれ??」
はっとするイノだが、隠す必要も無いと判断して、ナルトの事を話す事にした。。。。。が、しかし
イノ「なんかさ。。。。。結構ややこしいのよ。。。。笑!!まあ、ちょうどいい所にシカマルが居るから、シカマル!!後お願いね笑」
シカマル「は??」
イノはシカマルの肩を叩くと、ドアに向かった。
イノ「ゆか、じゃあまた来るからね!!」
イノが扉に手をかけた時、シカマルはほっとした。。。。。イノは昨日の事は何もしらないようだ。
そしてドアを開けて立ち去る時
イノ「シカマル〜〜〜〜、ケガ人襲ったりしちゃだめよ〜〜〜笑!!」
そう吐き捨てて出て行った。
シカマルは真っ赤になりながら、驚きの表情でゆかを見た。
しかしゆかも驚きの表情で
ゆか「言ってない!!言ってない!!」
と顔を振った。
ゆか「いたたたた。。。。」
驚きのあまり、思い切り顔を振ったのでキズにひびいた。
シカマル「お、おい!大丈夫か!?」
慌ててゆかに駆け寄る。小さな背中に手を当てると、また切なくなった。。。。。
ゆか「だ、大丈夫。。。。笑」
シカマル「そうか。。。。」
ゆか「ほ、本当に喋ってないから。。。。////」
必死に釈明するゆかに、シカマルは優しく笑いかける。
シカマル「別に疑っちゃいねえょ笑。。。。それに、知れちまったらそんときゃそんときだ。。。。」
ゆかはじっとシカマルを見つめる。その無垢なまっすぐな眼差しに、シカマルはもう一度唇を重ねてしまいそうな衝動に駆られる。
ゆかの視線から目が離せない。。。。
少しずつ顔を近づけて行く。
その時。。。。。
ーコンコン
ノックと共に扉が勢いよく開いた
コントのように飛び上がるシカマル。
サクラ「あら、シカマルいたの?」
サクラが検温にやって来たのだ。。。。。
シカマル「おまえさ、ノックするんだったら返事聞いてからドア開けろよ。。。。」
サクラ「あれ?もしかしてお邪魔だったかしら笑?」
含んだようにサクラがニヤついた。
シカマル「別にそんなんじゃねぇよ。。。。俺は常識を話てるんだ!!」
サクラ「すいませんね、それよりゆか来週退院出来るんだけど」
シカマル「ああ、さっきイノからきいたよ。。。。」
サクラ「そう?だったら話早いわ。退院の日迎えに来てあげてよ」
ゆか「え?いいっ!!そんな!!迎えになんて!!私子供じゃないんだよ笑?」
サクラ「何言ってるのよ。荷物もあるし、しばらくは自宅安静なんだから買い物もたのんじゃいなさいね」
そういってサクラは体温計に目をやると
サクラ「異常無しね!じゃ、シカマル後お願いね!」
サクラは忙し気に部屋を出た。
しばらくの沈黙のあと
シカマル「じゃあ。。。来週迎えにくっかな。。。。」
ゆか「でも。。。。。」
申し訳無さげなゆか
シカマル「これ言うと怒られそうだけどよ。。。。お前は俺の命の恩人だ。。。。それくらいさせてくれよ」
ゆか「。。。。シカマルが無事でいてくれた事が、私にとってものすごく意味のある事だったから。。。。恩人だなんて。。。。もう言わないで。。。。」
俯くゆかにシカマルは真面目な表情でこう言った
シカマル「わかったよ。もう言わねぇ。だからお前も約束してくれ。。。。もう二度と俺の身代わりになんてならないって」
シカマルの真剣な眼差しに、言葉を詰まらせながらもゆかは、素直にはいと答えた。そして
シカマル「今度は俺が、どんな事してでもお前を守る。ぜってぇ強くなるからよ。。。。。わかったか?」
愛しい人の瞳に映る自分は、格好悪い程の泣き顔。。。。。
シカマル「っは。。。。おまえ。。。。泣かないって決めてたんじゃねぇのかよ笑?」
そういってゆかの頭を優しくなでる。ゆか自信も木の葉にやって来てから、涙もろくなっている自分に気づいていた。
ゆか「そう。。。。だよね。。。。。」
そのままシカマルはベッドの隅に腰を下ろすと、ゆかの顔を自分の胸に引き寄せた。
ゆかは今までずっとずっと、抱えていたもの、背負っていたもの、苦しみ悲しみ、全部が解き放たれたように気が済むまで声をあげて泣いた。。。。。
それを何も言わずに、相変わらず頭を優しくなでるだけのシカマル。
こんなに泣いたのは、あの日以来だ。。。。。ゆかは背中の痛みより、今は心の中の痛みが強くて、涙と一緒に流してしまいたかった。。。。