小説

□知られたくない想い
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元第十班は食事を終え、店を出る。イノはいつものお決まりワードをシカマルに言った。





イノ「じゃあ、シカマルはゆか送ってあげてね〜」


しかしシカマルは




シカマル「っつうか、こいつ俺より遥かに強ぇのに、俺が送る意味あんのか??」



なんとサービスタイムは終わったようだ。




すかさずイノは




イノ「何言ってんのよ、ゆか怪我してるじゃない。これでなんかあったらあんた一生後悔するわよ〜」




ゆか「イノ、今日はほんとシカマルに迷惑かけ過ぎたから、流石に気が引けるわ/////だから一人で帰るよ」





イノがシカマルを睨む。。。。





シカマル「分かったよ!!送ればいいんだろっ!?めんどくせぇな。。。。。」




そう言って先にゆかのアパートの方向へ歩いていった。一度断ったゆかではあったが、シカマルと一緒に居れる時間が少しでも長くなる事が嬉しくて、そのままシカマルについていった。





ゆか「ほんと今日はありがとうね。。。」



シカマル「。。。。。礼を言わなきゃいけねぇのは。。。。。俺の方だぜ。。。お前が居なかったら、きっと俺一人じゃイノやチョウジを守りきれなかったからな。。。。。」




シカマルは心からそう思った。




ゆか「シカマルにそう言ってもらえて、嬉しいよ/////」



自分の気持ちを何の飾りもつけず、そのままを素直に表現するゆかの笑顔。。。。。シカマルは本当はこんなゆかの事を、ずっと前から。。。。。





そんな想いをまた気のせいだと言い聞かせ




シカマル「それより。。。お前これからどうすんだ。。。。」




ゆか「これからって。。。。忍者続けるかって事??」




シカマル「ああ」




ゆかはまっすぐにシカマルを見つめると



ゆか「私ね、最初に忍者になろうって決めたきっかけはね。。。。。うちってさ、小さな農家だったからほんと父さんも母さんも、一年中働きっぱなしだったの
それでも貧しくてね。。。。笑。このまま私が農家を継いだ所で、父さんも母さんも自分が動けなくなるまで、働き尽くめになると思ったの」





ゆかは少し恥ずかし気に言う。





ゆか「だからって小さな里には働き口もなかなかないし、まして子供を雇ってくれる所なんてなかったし。。。。
それで思いついたの。忍者になったら子供の私でも稼げるって。。。。。笑。そしてアカデミーに入学して、死にものぐるいで頑張った。。。。
早く上忍になりたい。。。。そればっかり笑。認めて欲しいとか、プライドとか全くなかった。上忍になればお給料が上がるでしょ。。。。そしたら父さんと母さんを楽させてやれるって。。。。」





ゆか「そして11の時にやっと上忍になった。。。。。でも、私には大事な物が欠けていて、任務に出る度に思い知らされたの。自分の里を守りたいと思う意思。。。。一番大切な物が私には無かった。。。。。
でも、仲間達が少しづつ私に教えてくれた。互いの命を預かる重大さや、仲間を思いやる大切さ。。。。。私は時間はかかったけど、改めて忍者になって幸せだと思ったの」





そしてゆかは俯くと




ゆか「でも。。。。。その仲間達は。。。。。私のせいで犠牲になってしまって。。。。。」





ゆか「だから私ね。。。。今度こそ仲間を守りたい。ここが私の場所だから。私は火の意思を継ぎたい」





そう言うとゆかはまたシカマルをまっすぐに見た。決して中途半端な思いで忍者になったワケでは無いのは分かっていたが
固い決意がひしひしと伝わって来た。シカマルはめったに見せない優しい笑顔で





シカマル「お前なら。。。。立派に火の意思を継いでいけると思うぜ。。。」




そう言ってポケットから手を出すと、ゆかの頭をなでてやった。





ゆか「え?////こんなサービスもしてくれるの?///」




ゆかはシカマルのあり得ない行動に、嬉しい反面少し恥ずかしくなってしまった。




シカマル「だからそのサービスってなんだよ笑」



そう言ってシカマルはまたポケットに手を入れると、歩き出した。




そしてあっという間にゆかのアパートに着いてしまった




ゆか「ほんと毎度毎度ありがとうございます。。。。」



深々とお辞儀をする。




シカマル「だからもう慣れたぜ。。。。それよりなんか手伝う事ねぇのかよ?右腕がそれじゃ困るだろ。。。」




そんなシカマルのラッキーチャンス質問に、ゆかは必死で用事を考える





ゆか「。。。。。。」





シカマル「無いなら帰るぜ」




このチャンスを絶対に逃したくないゆかは




ゆか「ああっ!!待って!!そう。。。。お風呂掃除。。。。。」




シカマルは明らかに嫌な顔をした。ゆかはひるんでしまい




ゆか「う、嘘、ほんと嘘!!じゃあ、お風呂掃除じゃなくて。。。。私をお風呂に入れてもらおうかな〜笑」




シカマルは嫌な顔から怒りの顔に変化させた。。。。




シカマル「アホの相手してらんねぇから帰る」



きた道を歩き出したシカマルを、ゆかは必死に引き止める。




ゆか「ごめんなさい!冗談です!押し入れの高い所に置いてある、忍具の入った入れ物を取って下さい!」


左腕でシカマルを掴んでお願いする。するとシカマルはゆかをジロッと見ると





シカマル「ほんとだな?今度ワケ分かんねぇ事言ったら、術かけてでも俺は帰るからな!」




ゆかは大きく何度も頷いた。するとシカマルは渋々ゆかの部屋に入っていった。





ゆか「なんか飲む?」



シカマル「箱取り出すだけだからいらねぇよ」




ゆか「すぐ帰る気満々だね。。。」




残念そうなゆかの横顔は今のシカマルには直視出来ない。さっさと終わらせて帰ろうと決めた。
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