小説

□隠したかった過去 〜お前はズレてる〜の続き
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書庫の整理を始めてから、数時間が経つ。そろそろ一休みしようと休憩所へ向かうゆか。



飲み物をかうと、椅子に腰をかけてほっと一息ついた。すると



カカシ「あれ?ゆかじゃない」



報告書を出しにやって来たカカシが声をかける。




ゆか「カカシさん。報告書ですか?」



カカシはニコリと微笑むと、ゆかの隣に座る。



カカシ「そう。報告書と、後は新しい任務の指示を仰ぎに来たんだ」



ゆか「今任務が終わって、もう新しい任務ですか。。。?」



カカシ「ああ、ちょっとゴタついててね。。。。笑」



ゆか「そうですか。。。。。」



不安気なゆかにカカシはもう一度ニコリと笑って



カカシ「大丈夫。木の葉の忍びは優秀な奴ばっかりだからね」



ゆか「そうですよね!!皆頑張ってくれてますもんね」



ゆかもニコリと笑った。




カカシ「あ、そうそう、こないだは押し掛けてごめんね。また皆で飲もう」



そう言ってカカシは火影の元へ向かった。ゆかももう一踏ん張りと、書庫へむかう。




そして日が傾き始めた頃、ゆかは綱手に挨拶を終えると、帰路につく。



その途中前方に人影が。それが誰だかすぐに分かった。




ゆか「キバ。。。。」




ゆかは壁にもたれて立っているキバに駆け寄った。キバはゆかに顔を向けると、なにやら神妙な面持ちで体を起こした。




ゆか「こんな所で何してるの??赤丸、こっちおいで笑」




ゆかは赤丸の頭を優しくなでる。




キバ「ちょっと。。。。いいか。。。?」



何やらいつもと雰囲気の違うキバに、胸騒ぎがするゆか。




ゆか「うん。。。」



そう言って、歩き出す。そして今朝来たばかりの河原に着くと、二人で芝生に座った。




なかなか話しださないキバ。ゆかは何も言わずに、キバが話すタイミングまで待つ。



西の空が真っ赤になり、ひぐらしの鳴く音がだんだんと静かになっていく頃、やっとキバは口を開いた。



キバ「あ、あのさ。。。。。」



ゆかはキバの横顔を見つめる。




キバ「今、里の外がゴタついてるって。。。知ってるよな。。。。。」




ゆか「うん。。。。」




キバ「今日。。。任務を与えられたんだけどさ。。。。相当ヤバいみたいで。。。。。」



ゆか「。。。。。。。」




キバ「明日から早速任務に向かうんだけどさ、帰って来れるかわかんねぇんだ。。。。。」



キバは膝をかかえて、赤い夕日に目を細める。




ゆか「長期になるの。。。。??」



キバ「いや、結果次第かな。。。。帰って来れるかって言うのは。。。。。正直。。。。生きて帰って来れるかって事だ。。。。」



ゆかはその言葉に目を見開き、鼓動が早くなる。




ゆか「そ、そんなに危険な任務なの?」



キバはやっとゆかに顔をむけて



キバ「そうなんだ。。。。。」


と、弱々しく言った。。。。。



ゆかは言葉が浮かばない。こんな時なんて言えば良いのか。。。。。気がつくと、片方の瞳からは涙がこぼれてしまっていた。。。。。。




驚くキバ




キバ「ご、ごめん!!泣かすつもりじゃ。。。。。!!」



ゆかもハッとして、涙を拭う。



ゆか「や、やだ。。。私も泣くつもりなんて。。。。。ごめんなさい。。。。」



キバ「は、はは。。。。弱音吐いちまったけど、大丈夫!!俺にはシノとヒナタがいるし、ぜったい戻って来る!!」



泣き出してしまったゆかに、必死でフォローするキバ。逆に気を使わせてしまって、いたたまれない。。。。




ゆか「絶対。。。。。戻って来て。。。。キバは大事な友達だから。。。。失いたくない。。。。。」



言葉を詰まらせながらそう言った。



キバ(友達。。。。。か。)



キバは本当は想いを伝えるつもりでいたのだけれど、言わないままでいる方が良いと思った。。。。。




キバ「それじゃあ、俺が帰って来たら今度こそちゃんと映画観に行こうぜ?」



キバは笑ってみせた。キバの笑顔に、必ず戻って来るという自信が見えたから




ゆか「うん!必ずね!」



ゆかも笑って言えた。そして指切りをする。キバは絡められた小指を切な気に見つめた。



それからは他愛のない話をして、空気を変える事にした。




ゆかとキバは、赤丸を枕代わりに寝転びながら話をしたり、赤い空を見たり、なんでもない時間を過ごす。




キバ「じゃあ、もうそろそろ行こうか。。。。」



キバがそう言ってゆかを見ると




キバ「はっ。。。。笑。寝ちゃってるぜ。。。。笑。朝、早かったもんな。。。。」



スヤスヤと眠ってしまったゆかと赤丸。キバはその寝顔を幸せそうに眺める。
無防備なゆかを見ていると、どうしても感情のコントロールが出来なくなってしまう。



キバ(もしかしたら、今日が最後になっちまうのかな。。。。。)




もう会えないかもしれない不安と、これから遭遇する脅威に、
キバは知らず知らずのうちにゆかの寝息のする方へ顔を近づけた。





そして、こともあろうに。。。。そのシーンを通りかかったシカマルが目撃する事になった。。。。。。




シカマル(。。。。。はあ。。。マジで最悪。。。。なんでこう、あいつにばっかり遭遇すんだ??しかもまたキバがいるじゃねぇか。。。。。)



出来る限る気配を消して、事なきを得ようと素早く立ち去ろうとする。
しかし、赤丸に寄りかかり眠るゆかに、今まで見た事の無いキバの横顔に、なぜか知らない振りが出来なかった。。。。。。



シカマル(キバのヤツ。。。。なにしてんだ?)



シカマルの眉間にシワがよる。
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