短編

□帰り道
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「ケーキ食べたい。」

「は?」


言い出したのはさっきまでカバンを振り回しながらハウザーと闘ってたバロットだった。さっきまで吸引力の変わらないただ一つの掃除機とか何とか言ってたくせに。


「あそこのさぁ、ほら駅ビルのとこの。なんかいっつもガラスケースに綺麗にケーキ飾られてるお店。」

「あー、あれか。俺チョコとベリーの食べたい。」


いつの間にかハウザーも賛同していてすっかり行く流れになっている。そこにすかさずこの三人の中でおそらく一番真面目かつ冷静なギルサンダーが異を唱える。


「おい、お前ら自分の立場分かってるのか?」

「遊びたいざかりの夏のラストJK。」

「センター試験まであと4ヶ月しかないんだぞ?」


そう。この三人は全員同じ学年、しかも同じクラスかつ18歳の現役受験生なのだ。ちなみに小学校からの幼馴染でもある。


「でもさ、まだ夏じゃん?高校最後の夏の思い出が学習合宿だけとか流石にきついじゃん!?」

「馬鹿か。もう夏休みは終わって期始めテストも返ってきたんだ。夏はとっくに終わってる。」

「学習合宿辛かったな。山にこもって一日十時間勉強だもんな。」

「あれはもう苦行だね。でも先生たちのプライベートなとこが見られてちょっと楽しかった。」

「お前ら人の話聞けよ。」


ギルサンダーはため息を吐きながら自転車をおしている。二人は二人でまたカバンを振り回しながら話している。




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