彼は私を愛していない

□美人画
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今日は最悪な日。



朝早くっから叩き起こされて、香油の入った風呂に入れられる。私は薔薇だの乳香だのとかいったバカバカしいくらい無駄に高い香油よりいつも使ってる石鹸の匂いの方が好きなのに。もうしばらくは自分の家のお風呂なんて入れないんだから好きにさせてよって言ったら、せっかくの晴れの日なんだからいつも通りじゃなくちゃんとおしゃれしなさいって。晴れの日どころか私の心は曇天だっつーの。

そしてその後、侍女達によって化粧を施される。これはまあ、似合わないとかでそんなに濃くはされなかったけど、いつもの格好からしたら十分濃い。ごくごく薄く馴染むように白粉を施され、唇に薄紅を引かれた。いつもは口紅なんてしないし、白粉も気が向いた時だけだが、この程度なら自分でもできる化粧だ。でも、侍女達は私達にやらせてくれと言った。それから、こんな晴れの日なんだからにこやかに笑って下さいと言われた。晴れの日どころかもう今にも雨が降り出しそうな気分よ。


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