ネタ帳


◆AI小説2 [追記]

あれ、何て思ったのも束の間。
世界が回るような感覚と共に僕はふらりと壁に手を当てた。いや実際には、手を当てたのは壁ではなく誰かの体だった。
すみません、と一声かけてその人を見上げると、それはよく見知った顔。
「こんにちは。何かあった?」
彼は常と変わらぬ顔でイヤフォンを外しながら、緩く腰を曲げてこちらを見つめる。親しい相手であったことに人知れず息を付いて、己より上にある彼の目を見る。
距離が近いと身長差故必然的に見下ろされる形になるが、普段は長い前髪に隠された右目が見えるその瞬間が天田は好きだった。それでも今はその瞳を見つめ続ける事が出来ず、倒れないようにと気を張ると自然と手に力が入った。
「……天田君?」
そう呼ぶ声の遠さに首を傾げようとして、がくりと足から力が抜けた。あ、なんて意味の無い言葉が出てきて、そのまま意識が途切れた。 次に目が覚めた時にきっと怒られるんだろうな、なんて思いながら。

意識が浮上する。ひどい夢を見ていたような気もするが、もはや泡沫のように消えて掴むことも出来ない。ただ一つ覚えているのは“自分が何かを言おうとした瞬間”に目が覚めたのだということ。誰に、何を言おうとしたのだろうと考えたところで鋭い痛みが走った。まるで脳髄を針で突き刺したような痛みだ。頭を抱えて胎児のように丸くなったところで慌てたような声が降り注いだ。
「……ッ! おい、大丈夫か!」
感情を顕にした声。この声はいつだって――
無意識に滲んだ涙でぼやける視界の中、

<ゲーム関連> 2023/02/14(Tue) 02:36

[戻る]
[TOPへ]
[カスタマイズ]



©フォレストページ