支部ログ

□特別な日の花宮真の願い
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今日はきっと一部の人しか知らない大切な日。
その一部しかいない大切な日を知っている人たちに断りを入れて俺は一人家の中。
その理由もほんの少ししかない確率で来てくれるかもしれない、という自分の期待を尊重したから。
俺がこう思うなんてことから珍しいけれど、それでも。
たまには思うことくらい、いいだろう?



―――特別な日の花宮真の願い―――


今は1月11日PM.11:50。
一応この日もポッキーとかで騒げる日だろ、とは心の底に留めておいて(だってなんか「え?あれ、悪童?」とか言われんのヤダ)俺は自作ポッキーを食べる。
正確にはチョコフォンデュするためのやつにプリッツを差し込んでポッキー風になっているだけだが。勿論チョコはカカオ100%に決まってんだろバァカ。
それを食べながら俺は傍に置いている携帯機器を横目で見る。
素直にスマホと言えばいいのになんでかたっくるしい言葉で言ったんだか、馬鹿だろ俺。はい、バァカ!
とノリツッコミするとかマジ俺中学のときに戻ってねぇか…。オイオイ。
まぁそんなことになるのはきっとあの人のせいだろうな。
やっと付き合えたあの人と今更俺の独りよがりの我侭なんて言わないけれど、ちょっとは期待する。
一番の祝福のメッセージ。
まぁ、受験1週間前だし。ほとんど期待はしていない。生活は大事だから。今更、俺のために起きて、体調なんて崩して欲しくない。べ、別に寂しいとか思っている訳じゃない、決してそう思っている訳じゃないし!
プリッツを2本まとめてチョコレートの滝につっこむ。もうヤケ食い!
はぁ何自滅してんだよ、俺。

――1年に1日しかない日まであと7分。

ヤケ食いするけどプリッツの箱1箱分無くなって、さすがにここから離れて取りに行くのは面倒な為そのままフォンデュの電源だけ切って後片付けは後にしよう。今はごろごろしたい。まったく本当に『悪童』の名が廃れるな。あの人が関わったときだけか?それはそれでいいけれど。『悪童』の俺は妖怪異名をもつあの人には敵わないってしっているし。今まで抗ってきたのはただの俺の我侭に似たもの。だから、今くらいはやらなくてもいいかなとは思いつつ俺はそっとスマホに目を向ける。
その行動を自覚して思わずため息。何やってんだ俺。まったく、馬鹿、ほんと馬鹿。
でもあの人を思い出してつい傍にあるクッションに顔を埋める。
「…ばぁか」
そんな言葉の真意は誰にもわからないだろうけれど、っていうか誰にも聞かれていないけれど。たまにはこんな風に言ってみたっていい。あの人は笑いながらきっと返してくれる。
「なぁに言うとうねん、アホ」なんて。そして俺をドロドロに甘やかしてくれることも知っている。勿論日によって異なるけれど。
あ、なんかウトウトしてきた?だめだめ、まだ起きるんだから…、でもほんの少しくらいはいっかぁ…。
「しょぉ……さ…ん」

――おめでとう!記念日になったよ!
その本人は夢の世界へと連れて行かれているのだ。
スマホのバイブが震えるのも気付かずに。



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