支部ログ
□諏佐今花ちゃん!
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「あ、いた!」
元後輩がめちゃくちゃ笑顔で大学に突撃してきたときの気持ちを述べよ。
回答:解せぬ。
「もう、今吉先輩がここに進学していると聞きましたので」
「ん、だからなんでここにきたん?花宮」
「え?俺もここにこようかな、と」
それとなんか猫被っているようやからきもいわぁ。
ってん?花宮?なんか言ったよなぁ?
「花宮、もう一回言ってくれへん?」
「えーだから俺もここに進学しようかな、と!」
なんでそんな笑顔でワシの心圧迫してくるん!
何でなん?『悪童』どこやったん?
「悪童?そんなの今吉先輩の前では無意味ですよね!」
「サトんな!サトリの名前あげよか?ワシいらんし」
「いえ、サトリは今吉先輩のものですって!俺は今吉先輩のことだけはわかりますから」
そう言いながら花宮は人差し指を立てて自らの口に当てる。
なんなん?あざといわぁ、でも怖いわぁ。
絶対なんかあるわぁ。
そのとき、スマホが震えた。
「あ、花宮悪いなぁ」
そう言いながら画面を見ると諏佐から。
「ん?どーしたん?諏佐」
『あぁ、なんか嫌な予感したから。なんかあったりでもしたら、俺は』
………あれぇ?
何で諏佐まで?おかしなっとうっていうか!
なんでその予感がしたんや!なんや、諏佐はエスパーか!
『俺は今吉のセコム存在になる』
「諏佐ぁぁぁああああああ!!!!諏佐にもサトリの名前やろうかぁぁああああ!!」
『あ、それはパス。だって今吉のものだしな。それに俺今吉にしか働かないから』
なんかデジャヴ。
なんか嫌な予感しかせぇへん。
と思ったら後ろからスマホとられた。
「おい、花宮」
「あ、諏佐さぁん。お久しぶりです、花宮です」
とんなや、って言おうって思ったら、なんか面識あるようやし。
それに何故か黒い空気が渦巻いている気がするで…。
今やったら花宮もあの赤の大魔王に勝てるんちゃう!?
あ、花宮睨んできたんと同時に寒気したわ。
あぁ、これ考えるんはやめとこ。
もうバスケもやめたしなぁ。無駄なことにもう足つっこみたぁないわぁ。
そう思った瞬間、あれ?花宮、空気柔らかくなってへん?
ほんま怖いねんけど。
「はい、それじゃあ、了解です」
ほんでまさかの諏佐との通話切った。ん?切ったとか何やっとん?
何勝手に切っとうねん!!ワシ話し中やったのに!
ていうか何も諏佐から聞いてないし!
「今吉先輩、先に帰っておいてくれ、だそうです」
「ん、わかったわぁ」
「それじゃあ、一緒に帰りましょう!」
…………what?
思考回路がようわからんねんけど。
いつもよりニコニコと笑っている元後輩花宮が怖い。
「やだ〜、今吉先輩、元後輩じゃなくて永遠の後輩ですよ、キャ、言っちゃった」
もう花宮のキャラがわからんくなってきた。
「もう、ええわ」
そう言いながら路地を歩く。
「あ、先輩待ってくださいよ〜」
そう言いながら、隣ではなく後ろを歩いてくる。
………ストーカーされとう気分やわぁ。
そして黙って歩くこと10分ほど。
駅に着きそうなので後ろを見たら、
誰も居ない。
「花宮…?」
アイツ、どこ行ってん。
ってか別に気にせんでもええよな…。
今日久々に会ったばかりの後輩なんやから…。
それでも。
ワシは駅に背を向けて走り出す。
**********
「もう、どこ行ってん…」
そう呟きながら結局駅に戻ってくると、花宮がなんか警察と話していた。
「は、花宮?」
「あ、先輩」
そう言うと、花宮は警察と離れて、誰かを引き渡してこっちに来た。
「花宮、どこ行っとってん」
「え?あぁ、アイツ捕らえてました」
と言いながら指差すのはさっき引き渡されている男。
こっちをあいつが見た瞬間寒気が襲う。
「ふぇ…」
「あ、あいつは…ってどうしたんですか?先、家に帰りましょうか…」
花宮がワシの手をつかんで引っ張ってくれる。
ワシはただされるがままやったけど、
何か安心感があった。
なんで、今それ思うんやろう…。
「それで、先輩が知りたいことですよね」
結局家までつれていってくれて、そこには既に諏佐も帰っていた。
ただいま諏佐とルームシェア中やし。
「あぁ、今吉。と花宮。遅かったな」
「おしゃまします〜!」
といつもよりもさらに元気になっている花宮と部屋に入って諏佐も何故か話に入ってくるところ。
「えっと、まずアイツは先輩のストーカーです」
「それ自体は前から俺も知っていてな、ついでだし花宮に協力を頼んだわけだ」
「あのときは、先輩に迷惑かけたとは思ってます」
ごめんなさい、その言葉はただここの部屋に居続けるだけ。
ただワシは何も知らなかった。
というか、なんで男のストーカーやねん。何で気付かなかったんや、ワシ。
「先輩が気付かないように俺らが隠していたんですよ、そして現行犯っつーことで警察に引き渡しただけ」
「何も今吉が気にやむことじゃない」
「ん、スマンの…」
と答えはするけれどもう混乱するばかり。
「でも、なんでそこまでしたん?ワシ、諏佐には迷惑かかったかもしれんのに花宮まで」
「だってすムゴッ」
花宮が何か言おうとしたら諏佐が口封じた。
何?え、ただの布ってワシのハンカチ!
「諏佐ぁ!ワシのハンカチ何花宮の口に入れとぉねん!」
「はっ!しまった!」
諏佐も気づいてなかったん!?
「あぁもう花宮かんにん…」
「これ、今吉さんの…?貰いますね」
何その笑顔。高校時代の嫌がっていた顔はどこにいったん?
あぁ、もう花宮が遠く感じるねんけど…。
「先輩、俺はここにいますよ?」
「またサトられたぁぁああああ!」
今までサトられていた奴らはこういう気持ちやったんやな…。
「まぁまぁ、今吉。それより、どうせまた今吉のストーカーわくかもしれないな…」
「どうにかして阻止しないといけませんね!」
花宮のキャラはもう放っておくにしても、諏佐もまたありえんことを。
「だって、今吉。お前現にストーカーされていたからな?花宮から聞いたら、なんでも写真やら勝手に撮られていたみたいだからな?」
「ほー」
「それにその写真どこで手に入れたか知りませんけど高校での先輩が温泉はいっているときとかだったんですよ!もう!俺だって欲しかった…」
ん?なんかおかしくなってる?
いつも花宮でおかしくなるなぁ!もういつもじゃないけど!今日だけやのに!
「大丈夫だ、花宮。そいつはもう捕らえた。ここからは今吉に許可さえ貰えれば撮り放題だからな?」
ん?あれ?諏佐もおかしいで…?
「はい、さすが佳典先輩!」
諏佐の名前呼びを花宮がした…やと!
なんで!ワシのほうが付き合い的には長いのに!
そうしたら、諏佐と花宮がこっちを見てきた。
同じ瞬間に見られたらさすがに怖いねんけど…。
「ねぇ、先輩。俺から名前呼びされたい?」
「今吉、俺からもしてやるけど?」
笑いながら、でもその顔は本当に笑っているような顔ってやつではない。
何かたくらんでいる顔。
「諏佐?花宮?」
「ねぇ、先輩
「なぁ、今吉
俺のことは嫌い?」」
「き、嫌いやないけど?」
そう答えると2人は嬉しそうにしている。
「「それじゃあ、俺のこと好き?」」
そして言われる、放たれるその言葉。
「勿論恋愛感情で」
「あ、無理に1人に選ばなくていいですよ。俺、佳典先輩も愛することができる自信あるし」
「むしろ、3人じゃないと俺は無理かな」
そう言いながら2人はワシにつめよってくる。
あぁ、そっか。
花宮がワシに会ったらいつもと違う感じやったんも。
諏佐がワシにすごくやさしかったんも。
全部ワシのためやったんよな。好かれたいが為の行動やったんよな…。
でも、2人が離れてもワシは……。
ん?なんで?ワシこんな嫌になるん?
「今吉、まずは1人で考えろ」
「別にすぐに返事求めているわけじゃないですから」
そう言いながら2人とも外にでる準備をしている。
「え、どこいくん?」
「あぁ、今吉も俺がいたら邪魔だろ?だからちょっと間花宮のとこにお世話になろうかと」
「え…なんで?」
「なんでって…今吉も顔会わせずらいだろ?」
なんでワシ、こんなにも嫌になるん。
離れんといて、ワシとずっと一緒におって。
花宮とも諏佐とも離れたくない…なぁ?ワシは傲慢なんかな?
でも、もう答えは決まってるから、
ワシは思いっきり諏佐の着ている上着を掴んで引っ張った。
「うわぁっ」
「ちょ、佳典先輩?って何やって」
「ワシの話をちょっとは聞けぇ!」
もうなんかふっきれた。考えるのもおっくうや!
「まず、勝手に諏佐は決め付けんなや!もう答えなんか出たわ!大体、花宮も出て行こうとするな!もうちょっと説得しようとか考えぇや!フラれる前に関係悪化させとってんで!何が永遠の後輩や!それ言う前にワシに言えばよかったやん!アホぉ!」
「せ、先輩?」
「大体、答えとか決まってるんやから!ワシは、傲慢かもしれんけど!2人ともと一緒におりたい!それじゃ、答えはあかんのん?」
言う声は少し震えていたけれど、言い切った。
もう、これでええやろ。
「翔一さんっ!」「翔一っ!」
「ちょ、花宮、諏佐!?」
2人に抱きつかれて思いっきり倒れこむ。
でも、下はちゃんと毛布がしかれてある。
「ほらー翔一さん?ちゃんと下の名前呼び」
「しないと、お仕置きするぞー」
と言いながらも2人とも嬉しそうに抱きついてくる。
ん?
「あれ?ワシ受けなん?佳、マコ」
「「え?そうだけど?」」
にこやかに笑う2人にワシは声にならない叫びをあげながら、まぁええか、となった。
やって2人から愛してもらえるんやし?
ほんまワシは贅沢者やなぁ。
「それは俺も一緒」
「なぁ、それは俺ら、が思っていることと同じだからな?」
笑いながら抱きついてくる2人にワシは笑いかけながら。
「そか」
そう返答だけして2人にひっつく。
もう彼らだけに溺れていたいから。
―――数日後、この部屋にもう1人住居者が増え、同棲、と名が変わるのはそう遠くないお話。
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