支部ログ

□愛の檻
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*Sside*

俺は、いや、俺たちは

同じ人を好きになってしまったらしい。




そうお互いに知ったとき俺らは話し合ったんだ。


「先輩に譲ります…叶わないだろうから」

「お前の気持ちはその程度なのか?」

「違います!本当に大好きです!」


そうして俺らはあることに気がついた。


「俺お前が入っても大丈夫な気がする」

「奇遇ですね。俺も大丈夫なんですよ」



そして、俺らは同じ人を好きになりながらお互い協力者となった。

恋を叶えるための協力者。

あぁ、なんて歪なんだろう!

それでもこんな歪な関係を止められる奴なんてどこにもいない。

まだ誰にも知られていないのだから。




今日もまた大好きな人を見る。

相変わらず可愛くて男前なあいつ。

でも、毎回隣には決まった奴しかいない。

『相棒』なんて呼ばれて、ずっと元気な馬鹿な奴が。

チームメイトとしては頼りにしているし、実際すごく強い。

それでもさ、その隣にいるのがお前だけとは思うなよ?

狙っている奴はたくさんいるさ。

恋愛感情を含まずに一緒にいられる馬鹿なあいつが羨ましい。

俺だって近くに居たいんだけど。

それでも、俺はまだ我慢する。

協力者があいつを恋愛感情で落としてくれるのなら楽でいい。

それでも、俺もあいつに見てほしいからさ。

だから、まだ今はあの馬鹿の邪魔はしないんだ。

『普通』の先輩後輩関係がもうちょっとで崩れてしまうかもしれないからね。

さぁて、今日もこの感情が悟られないようにしましょうか。


「おはよう、日向、カントク!」



あの子が俺らの思っていることを知ったらどんな顔をしてくれるのかな?




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