海空学園(短編)【旧】
□金太郎の風邪
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遠山「ち…とせ、しら…し、ぎ…ん。ワイは何で…。」
遠山はなぜ自分が保健室にいるのか分からなかった。
白石「覚えとらん?金ちゃん、部活中に倒れたんやで!!」
白石は遠山に倒れるまでの経緯を話した。
遠山「…たお、れたん…?」
銀「…その様子やと、覚えてないさかい。」
謙也「…病状は風邪やかい。遠山が倒れた時はビックリしたわ!!」
謙也はそう言いながら遠山の頭をなでる。
白石「金ちゃん、家に連絡したら留守みたいんやけど…。」
遠山「…そういえば…おとんとおかん、ほーじ(法事)に行ってて、明日のゆうが、たまで帰って、これん…。」
白石「そうか…。」
そのあと、白石、千歳、銀の3人は遠山を謙也に任せ、部活に戻った。
そしてテニス部は終わる時間の一時間前に早く切り上げた。
部活のユニフォームから制服に着替え、遠山と謙也のカバンを持って急いで保健室に向かった白石、千歳、銀、小春、ユウジ、財前の6人。
保健室に着き中に入ると遠山が眠っているベッドのところへ行くと、遠山が泣きじゃくりその遠山を謙也が抱き着き慰めていた。
この光景に固まってしまった6人。
ハッといち早く我に返った白石が謙也に声に掛ける。
白石「何にしてんねん、謙也。」
小春「いやぁーん。」
財前「謙也さん…。」
6人は謙也にわざと哀れな目を見る。
謙也「ちょっ…みん、な?やめてー!!」
謙也の非難する声にやめた6人。
千歳「…で?どうしたんばい?謙也。」
謙也「実はな、遠山の家、両親が留守やけん。で、どうしようかと考えていたら、突然遠山が起き上がって抱き着いてきてな。『じゅーうだい、じゅーうだい…。』って言いながら泣き始めたんや!!とりあえず今、遠山を落ち着かさせてんやけど…。」
ユウジ「一向に治まらないって訳やな…。」
謙也「その通りや!!」
謙也の説明で納得した6人。
財前「金の言う『じゅーうだい』は十代さんのことであってるんやろうか?」
白石「“十代”って名前、あの人しかおらんやろ!!」
銀「十代…はん?」