短編の図書館

□赤と瑠璃
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※大学生設定

「よし、起きるか…」
 蒼空は目を覚ますとベッドを抜け出して、洗面台へ向かった。身だしなみを整えると、次は朝ご飯を作り始めた。

「よし、完成。そろそろ、起こす頃かな…」
 一通りの準備を終えると、蒼空は寝室へと向かった。それはまだ起きない同居人を起こす為であった。

「凛、朝だよ」
 蒼空が起こすも、布団にくるまって寝る蘇芳色の髪の青年―凛は起きようともしない。きっと、夜遅くまでレポートをまとめていたからだろう。と蒼空は判断した。

「今日、2時からバイトでしょ?早く起きないと、ご飯冷めるよ」

「……」
 何度言うも、凛は答えなかった。そして蒼空は、あること思い付いた。

「じゃあ、昼ご飯なくてもいいんだ…きゃ…っ!」
 蒼空が寝室を出ようとした時、突然腕を掴まれ布団の中に引きづりこまれた。

「へぇ…、俺の飯抜きにしようとかいい度胸じゃねぇか。蒼空」

「り、凛!また狸寝入りしてたでしょ?」
 蒼空が尋ねると、凛は「ご名答」と答えた。蒼空は思わず、頭を抱えたくなった。

「しっかし…、俺を飯抜きにしようなんていい度胸だよな。ん?」

「それは、凛が起きないからでしょ…っ」
 蒼空が言い返すと、凛は蒼空の上に跨り顎を持ち上げ服を脱がし始めた。思わぬことに、蒼空は青ざめた。

「凛、ちょっと…っ!」

「悪い子には、お仕置きしないとな?」
 耳元で囁かれ、蒼空は体を強張らせた。今日は大学休みでよかったと、蒼空は思った。

―覚悟、しときゃよかった…。
 蒼空は、大きく後悔した。



「ひ…っ、っあ…はぁ…」
 休みなく与えられる愛撫に、蒼空は唇を噛んで凛に顔を見られないよう俯いた。

「蒼空、唇噛むな。痕になんぞ」

「ひゃあ…っ」
 凛に言われるまま、蒼空は唇を噛む力を緩めた。

「てかさっきの、そんなによかったのかよ?」
 凛が耳に囁くたびに、身体はゾクゾクと反応する。凛に言われるままされたい放題にされていることに、蒼空は悔しく感じた。

―なんて…、ズルいんだ…
 思った言葉は口にしない。口にすれば、相手は更に拍車をかけてくる。もう慣れてしまったことには、変わりない。こんな奴に惚れた自分が悔しいと思えた。

「もう…、欲しいか?」
 頬を撫でながら、凛は心配そうに頬を紅潮させる蒼空に尋ねた。

―ホント…先が見えない…。何を考えてるのか…。ずる賢いというのか、なんというのか…。
 そんなことを考えている間に、身体の中に熱いものが入れられてくる。

「ん…はぁ…っ…ッン」

「動くぞ…」
 そう言って、凛は入れた中のものを動かし始めた。

「ひゃああっ…は、あぁっ」

「っく…っ」
 中は強く揺さぶられ、意識は遠のいていきそうな感覚に落とされる。自分も随分墜ちたものだなと、蒼空は笑いたくなった。

「り、っあ…も、無理ィ…ッ」

「いいぜ、イけよ…ッ」
 もう凛にも、余裕など一切見られなかった。そのスピードに乗せられるまま絶頂に達し、二人はゆっくりと目を閉じた。



「蒼空、怒んなって」

「うるさい…」
 凛は掃除しながら謝るも、蒼空は全く許そうとはしなかった。

「せっかく、朝ご飯作ったのに…昼ご飯になった」

「それは、悪かったって…ホントに」
 凛は頭を掻きながら、背後から蒼空を抱き締めた。

「何…」

「明日、五穀米オムライス作ってやるから許せよ。なんでも、言うこと聞いてやるから」

「……ホントに?」
 蒼空が訝しげに尋ねると、凛は「嘘じゃねぇよ」と答えた。

「じゃあ、約束」

「おう」
 二人は笑いながら、指切りげんまんをすると蒼空は口を開いた。

「じゃあ、食べようか。朝ご飯…いや、昼ご飯を」

「そうだな」
 凛もそう言うと、冷めてしまった朝ご飯を食べ始めた。





END

カップリング小説第一弾のりんそらです。
たくさんの投票、ありがとうございました。
また第二弾も行うので、楽しみにしていてください!

13'10'8

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