二人でならきっと
□迷子の夏祭り?
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調理器具を運んだ後、キッドは男子組に合流しに川へ、あたしは飯ごうに米をセットしたり、巻きを集めたり調理の準備を進めていた。
日はてっぺんに近づき、開始から2時間が過ぎた。
『さてと、マカ達はちょっと探せないけど、男子組はどうなったかなー』
あたしは魔法で結界を作り、調理場所の安全を確保し、男子達がいるであろう川へと向かった。
「はっはー!魚どもが俺の偉大さに驚いて逃げて行きやがる!」
「偉大さじゃなくて、騒がしさにびっくりしてんだよ! 静かにしてろ!」
「たく、魚がみな逃げてしまうではないか。これでは昼食に間に合わんぞ」
川では案の定、ブラック☆スターの出張ステージが始まっており、成果はあまり期待できなさそうだ。
『順調、ではなさそうだな』
「お、アカネじゃねーか! 順調も何も俺ステージはいつでもどこでもNo. 1の輝きだぜ!」
『いや、ブラック☆スターのステージの調子は聞いてないから』
川岸のバケツを覗いてみると魚が4匹泳いでいた。
あの騒音のなか4匹は上出来だろう。
「博士達の分を抜いて、ラグナロクを含めても最低10匹はいるというのに……」
「おい、ブラック☆スター! お前の昼飯抜きにするぞ!」
「ビックな俺様に昼飯なしとはどういうことだよ!」
ソウルとブラック☆スターが川の中で乱闘を始めたため魚達が散っていくのが見える。
『どこまでも世話の焼ける生徒だな』
あたしは念のために持ってきた簾を持って魚達の逃げた方向に走る。
『キッド、反対側持っててくれるか?』
「あ、あぁ。わかった」
魚達の先回りをし、川に簾を入れ、柵を作る。
『ソウル、ブラック☆スター! そのままこっちに来い』
そう呼ぶと乱闘を続けたまま、二人がこちらに向かってくる。
『よし、キッド簾を上げろ』
頃合いを見て合図を出す。
上げられた簾の上には
「「さ、魚だ!」」
ソウルとブラック☆スターも乱闘をやめ、こっちに興味が移った。
簾の上には10匹をこえる魚達がかかっていた。
「なるほど、追い込み漁というわけか」
『そういうこと。さ、あと30分。大漁を期待してるよ』
あたしは簾をキッドに渡すと米を炊きに集合場所へと戻ることにした。