とぅわいす

□一次試験の難
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ジリリリリリ …
けたましい音が鳴り響く。試験が開始されるようだ。
「始まるようだな」
『あぁ』
「只今をもって、受付け時間を修了いたします。ではこれより、ハンター試験を開始いたします」
その一言で、会場の空気が一気に張りつめた。
「こちらへどうぞ」
さらに奥へと案内される。勿論光などは見えない。
カッカッカッ…
「さて、一応確認いたしますが。ハンター試験は大変厳しいものもあり、運が悪かったり、実力が乏しかったりすると怪我をしたり、死んだりします。先程のように、受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々ございます。それでも構わない━━という方のみついて来て下さい」
と言われてついていかない奴は一人もいなかった。
「承知しました。第一次試験、406名全員参加ですね」
(まぁ、当然っちゃ当然だよな)
ダンディな人が来て少し経った頃、俺は違和感を感じた。
「前が走り出したみてーだ。乗れよ、クレイ」
『サンキュ』
俺はキルの乗ってるスケボーの後ろに乗った。

シャー…
自分で移動してない分、とても楽だった。
「申し遅れましたが、私、一次試験担当官のサトツと申します。これより、皆様を二次試験会場へ案内いたします」
ということは一次試験はもう始まっているらしい。
『どうやらあの人に付いて行く事が試験内容のようだな』
「あぁ。スケボー持ってきといて正解だったぜ」
『流石キルだな♪』
試験にスケボーを持ってきちゃうキルの思い切りの良さは好きである。
「おい、ガキ共、汚ねーぞ。そりゃ反則じゃねぇか、オイ!!」
『は?』
「何で?」
俺達に声をかけてきたのはオッサン。
「何でっておま…こりゃ持久力のテストなんだぞ」
「違うよ。試験官は付いて来いって言っただけだもんね」
そう言ったのは一緒にいた男の子。一見キルと同い年な感じだ。
「ゴン!!てめ、どっちの味方だ!?」
「どなるな。体力を消耗するぞ。何よりまずうるさい。テストは原則持ち込み自由なのだよ!」
金髪のお兄さんは冷静だ。
『ねぇ、そこの金髪じゃない少年。年いくつ?』
「もうすぐ12歳!」
キルと同い年のようだ。
「?」
『…キル、どうする?』
「…やっぱオレも走ろっと」
その言葉を聞いて、俺はスケボーを降りた。
ダンッ
『ヒュゥ』
「かっこいー」
「オレ、キルア」
「オレはゴン。お兄さんは?」
『ん?俺?俺はクレイリオン。クレイって呼んでくれ』
まさか俺に回ってくるとは思わなかった。だが、キルにも俺以外の友達ができて良かった。
「オッサンの名前は?」
「オッサ…これでもお前らと同じ10代なんだぞ、オレはよ!!」
…マジか…。
『やぁ、お兄さん』
俺は金髪のお兄さんに並んだ。
「君は…クレイリオン…だったな」
『お、覚えてくれたんだ。クレイでいい』
「私はクラピカ。よろしく」
『…クラピカも大変だな。俺なら付き合ってられないね』
あんな騒がしい連中と一緒だなんて考えられない。いや、クロロとかウヴォーとかは常に煩いが。
「…あれはあれで面白いのだよ」
『ふぅん…』
ちらっと後ろを確認する。確かにキルは楽しそうだ。
『…そろそろ40q位来たか…?』
行先や所要時間が分からないのは精神的にツラい。一体、何時まで走り続ければいいのだろうか。



更に数時間後、俺達は階段に差し掛かった。しかも、試験官のサトツさんはどんどんペースを上げている。先程から隣を走っていたレオリオの息がかなり上がっている。
「レオリオ、大丈夫か!?」
「おう!!見ての通りだぜ。なりふりかまわなきゃ、まだまだいけることがわかったからな!!」
それは大した根性だ。
「フリチンになっても走るのさ――!!」
『おーおー、それはいいけどよ、俺からは離れろよ。マジお前と知り合いだと思われるならヒソカと知り合いだと思われた方がマシだからよ』
「うおおおおおーッ!!」
行ってしまった。
(はぁ…めんどくせ…)
バッ
『え、クラピカ…?』
クラピカは上着を脱いでいた。
「さ、行くぞ、クレイ」
『は!?ちょ、待てよ!!?』
俺は慌ててクラピカを追った。
「レオリオ、1つ聞いていいか?」
「へっ、体力消耗するぜ。ムダ口はよせよ」
俺は2人の会話に静かに耳を傾けた。
「ハンターになりたいのは、本当に金目当てか?…違うな。ほんの数日の付き合いだが、その位はわかる。確かにお前は、態度は軽薄で頭も悪い。だが、決して底が浅いと思わない。金儲けだけが生きがいの人間は何人も見てきてが、お前はそいつらとは違うよ」
「ケッ、理屈っぽいヤローだぜ」
「…緋の目」
俺はその単語にハッとした。
「クルタ族が狙われた理由だ」
じっとクラピカを見つめる。
「緋の目とは、クルタ種族固有の特質を示す。感情が昂ると、瞳が燃えるような深い緋色になるんだ」
旅団の皆が行ってきた、四年前に行った大きな仕事の一つだ。でも。
『何で……生き残りはいないはずじゃ…あいつ等が見落としたってのか……?』
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