とぅわいす

□旅立ち
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『…』
俺は今、ボーッと空を眺めていた。
「…ク、クレイ?」
『…』
シャルが声を掛けてきたがシカトした。シャルは落ち込んでいるが気にしない。
「…これは…嵐が来そうね…」
パクノダの呟きは耳に入ってこなかった。


蒼の目を持つラシューム族。10年前、突如消息を絶った。だが、その生存者が、今も何処かで暮らしているらしい━━━━━。


ゴロゴロ…
遠くで雷が鳴り出した。それでも俺は空を眺め続けた。
キィィ…
「あ…団長…」
「マチ、クレイはどうしたんだ?」
「わからない…昨日からあんな調子なんだ」
「そうか……クレイ」
クロロ…養父さんに呼ばれ、俺はやっと空から視線を外した。
『クロロ…俺…』
一度息を吐いて、クロロを真っ直ぐ見つめる。
『ハンターになる』
「「「…えぇぇ━━━━━ッ!?」」」
マチ、シャル、ノブナガ、ウヴォー、フェイタン、シズク、パクノダ、コルトピ、フィンクス、フランクリン、ボノレルフの悲鳴が木霊した。
「…何故そう思った?」
クロロの一言に、凄くプレッシャーを感じる。でも。
『俺の事…忘れた訳じゃないだろ』
俺は、10年前に消息を絶ったラシューム族の生き残り。他の皆は、ここに、俺の目の前に居る幻影旅団に殺された。
『確かに皆には感謝してるさ……けど、やっぱり俺はあの日の事を忘れらんねぇ…』
俺がそう言うと、クロロ以外の皆は目をそらした。
『だから、ハンターになる』
「ダメだ」
クロロに即答され一瞬唖然としてしまう。だがそこで諦める俺ではない。
『…ッ…何でだよ!?お前あん時言ったよな。「俺を殺したければ殺せ」って。それが先延ばしになっただけじゃねぇかよ!!』
「ダメなものはダメだ」
またもや即答される。押してダメなら





蹴破ればいい。


ブンッ!!
バシッ
「実力行使か…悪くない」
俺の回し蹴りはいとも簡単に止められてしまった。だが、それこそが俺の狙い。
『飛弾矢<ヒダンシ>』
念で作った弓矢をほぼゼロ距離でクロロに放つ。
「ッ!!」
勿論クロロは矢を避ける。力が一瞬弱まった。その瞬間に俺は襟首を引っ張られ、窓から外へ飛び出した。
「しまった…!!」
「マチ!!」
「わかってるよ!!」
マチの念が飛んでくるが、間一髪で効果範囲の外に出る。そして、俺の襟首を引っ張っている狼、カルマの背中に飛び乗った。
『そこで俺に殺されるのを待ってるんだな、幻影旅団!!』
それだけ言って、俺はハンター試験第一次試験会場へ向かった。

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