FAIRYTAIL長編小説集

□〜黒き支配者〜
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暗い空間・・・

・・・もう引き返せない


アンタはオレのモノにする!!





〜妖精の尻尾〜
グレイ「暇だな・・・」
いつも賑わっているギルド・・・のハズが今はのどかである。
珍しく主力メンバーも、酒呑みの男たちもいない。
今までにないほど静かなのだ。

ミラジェーン「あら、グレイ、クエスト行かないの?」
グレイ「あぁ・・・ミラちゃん、面白そうなクエストねえんだよ・・・」

ため息まじりに苦笑してみせる。

ミラジェーン「そう・・・、でも皆クエストにでていないわよね・・・」
グレイ「あぁ・・・ナツとハッピーはルーシィと行くのかと思えば一人と一匹でいってるし、ルーシィを見つけたと思ったら、ウェンディとシャルルとでかけてるって言うし、ジュビアは長期クエスト行ってるし・・・ってな」
ミラジェーン「あらあら・・・」
グレイ「・・・ここにいてもすることねえし・・・ちょっと散歩するかな・・・」
ミラジェーン「夕方には皆戻ってくると思う」

グレイは手を振り、ギルドを出る。

天楼島から帰還して1ヶ月。
皆ギルドの地位を取り返すため、クエストに励んでいた。
もちろん、グレイも先日まで行っていた。

が、しかし・・・。

グレイ「やっぱりおかしい・・・」

グレイは自分の掌を見つめる。

グレイ「・・身体が麻痺してる気がする・・・」

手を握ったり開いたりしてみる。
やはりその麻痺は消えない。

グレイ「クソ・・・っ」

魔力の低下、それはないようだ。
しかし、魔法が抑えつけられてる感覚がある・・・。
それは、2週間前から少しずつ・・・。

グレイ「大丈夫だ・・・きっと・・・」


静かに目を伏せ魔力を練り始める。


バチンッ


グレイ「い"っ!!」

激しい拒絶、グレイは青ざめる。

グレイ「魔法が・・・使えねえ・・・っ!!」



「グレイ!」

ビクッ


背後からの声にグレイは肩を跳ねらせる。

ハッピー「こんなところでなにしてるのー?」
ナツ「いきなり強い魔力感じたから来てみたら、何のために魔力放出してるんだよ?」

変に勘のいいナツ。
グレイは振り返って精一杯の笑顔でごまかした。

グレイ「何でもねえよ、それよりクエスト終わったのかよ?」
ナツ「それがよぉ・・・・・依頼主が急に体調崩したとか何とかで今日は帰ってくれってよぉ」
ハッピー「家の修理だったのにねー」
グレイ「おまえらに修理出来ねえだろ!?」
ナツ「オレにだって出来る!!」
グレイ「モノ壊す事しか出来ねえじゃねえか!」
ナツ「喧嘩売ってるのか!?」
グレイ「・・・別に、売ってねえよ・・・」
ナツ「おぉ!?」
ハッピー「グレイが身を引いた!?」
ナツ「な、何か気持ち悪い・・・」
グレイ「何とでもいいやがれ・・・じゃあな」
ナツ「お、オイ!!」


その時のグレイの後ろ姿は・・・見たこともないほど、暗く沈んでいた気がした・・・。



グレイ「はぁ・・・」
ナツとグレイの喧嘩は時に酷くなる。
魔力を使ってしまうほど・・・。
あの時、喧嘩していればもしかしたら・・・。

ふらふらと歩いている内に森をさまよっていたようだ。
グレイは辺りを見回す。
考えすぎていたせいかだいぶ奥まで来てしまっていた。

グレイ「そろそろ、ギルドに戻るかな・・・」

視界がぐらついてゆく。

グレイ(オレの身体・・・どうなってんだ・・・)

荒く息をし、座り込む。
立つ気力はもうなく、ただただ恐怖感に満ちていた。

このまま、


命の灯火が消えてしまうんじゃないか・・・。


グレイ「すこ・・・し・・・だけ・・・」

ドサッとその場に倒れ込む。
息を整え、意識を闇に・・・。






木の影から一人の男。
男はグレイに近づく。
そのまま抱きかかえる。

「効いている、このまま・・・。
ごめんな、グレイさん・・・。
オレはあんたを手に入れるんだ・・・。
そのためなら・・・・・」


男はそっと唇にキスを落とした。

そして、そのままグレイを地面へと置くと、消えてしまう。


闇から出てきた影、それは人となる。
「スティング・・・」
スティング「あぁ・・・ローグ・・・」
先ほどの男はククッとわらう。
スティング「順調だ・・・力を呼び起こそうじゃねえか・・・悪魔の力を・・・・・




封印を解くときは来た」



スティングと呼ばれた男は不気味に笑った。





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