ダンガンロンパEx.

□Chapter2「白い鳩は絶望の中を飛ぶ」 非日常編
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やがてバタバタと複数の足音が聞こえた。・・・どうやら他のみんなもやってきたらしい。

反応は様々で、驚いて悲鳴をあげる人や言葉にできないままその死体を見つめる人、怒りを表情に表す東矢さんや姫鈴君のような人もいれば、悲痛そうな顔で涙を流し続ける霧絵さんや緋色さんのような人もいた。そして・・・咲神君などのように、ただ無表情のまま現場を観察する人間。

どのタイプにしても、まさか二度目の殺人が起こるとは想定しなかったに違いない。ましてやその犠牲者が、誰とももつれごとを作っていなかった雨野さんだなんて、露ほども。


「うっぷぷ!いやぁ・・・やって参りましたねぇ!コロシアイ生活二度目の殺人事件ですよっ!テンションMAXですね、上げ上げですね!」

「ぅわ、こりゃあマジもんじゃないっスか!へぇ〜、高校生でもストレス溜まるとこんな短時間で人が殺せるんスね〜」


楽しげな声でやってきたのはモノクマと清城君だ。

この二人は、本当に・・・!!


「あなたたちは人の命を何だと思ってるんですか!?もとはと言えばあなたたちが、」

「はいはい、その言い分は聞き飽きましたー。すぅぐそうやって人のせいにするんスよね、着物っ子は・・・」

「そーだよそーだよ!八つ当たりもいいところだよ!外への未練を断ちきれないからこんなことになるんでしょーが!『人の命を何だと思ってるんですか』って?むしろこっちが聞きたいさ、他人を犠牲にしてまで外へ出ようとするなんてぇ、一体人の命を何だと思ってるの君たちは?ん?」

「ぐっ・・・!」


モノクマの一言に、私は何も返せず言葉に詰まってしまう。

そう。薄々分かってはいるんだ。

モノクマはただ見ているだけ。ただ私たちのコロシアイを、裏切り合いを、疑い合いを傍観して楽しんでいるだけ。直接的に干渉はしてこない。
清城君は学校内で暮らしてはいるけれど、モノクマの仲間だ。所謂『お手伝いさん』という扱いだとも言っていた。・・・だから彼もまた、モノクマと同じように行動しているはずで、殺人を自ら起こすようなことはしないと考えていい。
なら・・・今回の殺人を起こしたのは誰なのか?









そんなこと、決まってるじゃないか・・・


「雨野林檎さんを殺したのはオマエラの中の誰かなんだよっ!外へ出たくて出たくて出たくて出たくて仕方ない殺人鬼がオマエラの中にいるのさ!わぁ、考えただけでおっとろしーことですよね!」

「はは、まったく滑稽ですよねぇ?そんな奴のことをなぁ、アンタらは『仲間』って称して受け入れて仲良しごっこしてたんスよ?気持ちが悪ぃ限りっス」

「・・・違うよ、それは」


返したのは咲神君。
彼は雨野さんの姿を見つめた後、その光を灯す瞳で二人へ向いた。


「俺たちは確かに『仲間』だった。・・・最初の事件から教訓を得た。あんな悲しいことは二度と起こしてはいけないんだと。死んだ彼らの思いを背負って、俺たちは全員生きて、誰も疑わずにここからでるべきなんだと。その為には協力が何より大事なんだと。だから俺たちは協力し合おうとしたんだ。最初は、確かに、『仲間』だった。・・・お前が動機を提示するまではな」

「・・・へー。ほー。あ、そーなんですかーへー?でも結局殺人が起きたってことはさ、その何?『きょーくん』ってやつよりさ、仲間を殺して外へ出ることの方が大事だったんでしょ?動機が出たら簡単に『仲間』を裏切れちゃう奴なんだよ?そんなの学級裁判でブッ殺した方が気分いいじゃん!・・・はい!というわけで下らない話はこの辺にして、そろそろ例のアレ配りますよー」

「・・・」


慣れた手つきで一つずつ、私たち全員にスマホもどきを渡していく。
前の事件でも見た、モノクマファイルだ。


「えっと、みんなもらいましたねっ?・・・じゃあボクの仕事はこれだけなんで、退場しまーす!うぷぷ、学級裁判でお会いしましょう!バーイ☆」


次の瞬間モノクマの姿が消えた。
・・・どうやら裁判場へ行ったらしい。私たちが動き出すには、まだ少し時間が必要だった。
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