短編、中編

□兄が兄なら弟も弟
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「やっと、やっと会えるね!待っててねカオル兄!!」


その日、1人の美少女が成田空港に降り立った。


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「チッ、留守かよ」


そう言うと丑嶋はジャンパーの中から瞬間接着剤をおもむろに取り出し、先ほど留守を確認したアパートの鍵穴に差し込み塗り込んだ。


「帰ってきてもドア開かねぇぞ!ざまーみろ!!」


そう叫んだ丑嶋の後ろを柄崎、高田が着いて行く。


「丑嶋社長、今日は特に荒れてますね」


まだカウカウファイナンスに入社したばかりの高田には何故なのか理解できず、混乱した様子で柄崎に質問した。
柄崎はそれにしばらくの沈黙の後に告げた。


「金主への返済日が近けーんだ」


金主と言う単語に聞き覚えがない高田にさらに柄崎は言葉を続けた。


「ウチの資金は金主から月15%で借りてんだ。いつもは利息だけなんだが、今月は何故か完済を要求してきたんだ。けど金がまだ全然足りねぇ」


「金主ってどんな人なんすか?」


「占い師のババアだ。相当な資産家でヤクザ経由でウチに回ってくる」


「ヤクザ!?」


ヤクザが関わっているとは思いもしていなかった高田が冷や汗をかきながら驚きの表情で叫んだ。
それに柄崎は冷静な顔で高田に告げるのだった。


「金を納めなきゃ、俺たちはヤベェーんだわ」


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「丑嶋オハヨー」


高級マンションの室内には高級そうな家具が
並びその中央にはこれまた高級そうなチャイナ服を着た中年のおばさんが腰かけている。
その中年のおばさんが柄崎と高田が話していた金主であった。


「顔色は良いわね。あんた来年から運気がグングン上がるから今年は耐えなさい!」


「ありがとうございます」


余計な御世話だクソババアと思いながらもこのクソババアにお金を借りている身の丑嶋は何も言えない。


「そうそう、丑嶋。この間面白い事を聞いてね」


いつもは顔出しだけですぐに帰っていいはずなのに今日は何故か呼び止められる。
不思議に思ったが出口に向かっていた足を止めて金主の方に向き直る。


「ここ数年で闇の住人と次々に密約を交わしている若い娘がいるそうなのよ。その娘が近々日本に来るようだから・・・気になるでしょう?もしその娘を見つけたらここに連れて来て欲しいのよ」


「それは俺じゃなくとも他に出来るのでは?」


「もし、よ。たまたま見つけたら連れて来て頂戴」


「・・・分かりました」


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「クソッ!!バックレねーように顔出させてんのに、次は人探しだと!?ふざけんじゃぇ!!!」


「あのババア、何で急に全額返済要求してきたんすかね?」


「最近闇金の摘発が厳しいから、金主から足洗って中国の企業にでも投資すんだろ!散々甘い汁吸いやがってあのババア!!」


ギリギリと歯ぎしりをしながら丑嶋は悔しそうに顔を歪ませた。


「結局世の中金だ!いつか見てろよあのババアの座、奪い取ってやる!!・・・おい!次の取り立て行くぞ!!」


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「おい俺から借金踏み倒せると思うなよ!散々追いかけさせやがって!!」


先ほどまで3人は逃亡を図った責務者を追い掛け回しやっとのことで捕まえたのだった。


「金もってんならさっさと払え!手間取らせんじゃねぇよ!!」


柄崎がいつもの迫力ある顔で脅すが、責務者は本当に金がないのかスイマセンスイマセンと土下座をするだけで一銭も払おうとしない。
柄崎だけでは効果がないと判断した丑嶋は重い腰を上げ責務者の方に歩み寄る。
しかしその歩みは一台のリムジンによって阻まれることとなった。
丑嶋達のいる歩道に横付けされたリムジン・・・運転席と助手席が空き、男性二人が
丑嶋の前に立つ。


「あなたが丑嶋馨さんですか?」


助手席から出てきた男性が丑嶋に質問した。
丑嶋は眉間に皺を寄せながら、あぁ。とだけ返した。
すると今度は運転席側から出てきた男性がリムジンの後部座席方面に足を向け後部座席にいるであろう重鎮に話しかけた。
が、その重鎮らしき人物は丑嶋が思いもしない人物であったのだった。


「ヒカル様!ついにヒカル様ご所望の人物を見つけましたよ!!」


「・・・ヒカル?」


ヒカルとは丑嶋が学生時代に生き別れた弟の名と同一の名前。
しかも海外に行ってしまったのだ、そんな弟が日本で、しかもこのような道の真ん中で、リムジンに乗って登場するようなことはあるははずもないと丑嶋は勿論思っていたし、信じていた。
そのリムジンの後部座席が開かれる前までは・・・。



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長くなっちゃったんでここで一旦切ります!
丑嶋社長大好きです!!
ウシジマくんにハマってまだ日は浅いのですが、色んな夢回ってきました!!
しかしウシジマくんの夢小説サイト少なくて泣きました・・・(;_;)
ドラマ二期始まったのでファンが書いてくれるのを信じてます!!
ずっと信じてます!!!
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