ファイブレイン

□天邪鬼
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ギャモンは一度空を仰いだ。


そして、次の瞬間ガツッ!!という、鈍い音が響き、カイトは頭を押さえて踞っていた。




「カイト!

ちょっと、ギャモンくん!

今のは流石にダメだよ!!」



「知るか!!

俺はこいつなんか、大ッ嫌いだぜ!!」


そう言って、ギャモンはバイクに乗って行ってしまった。

一体なんなのよ、とノノハが思っているとカイトがゆらりと立ち上がるなりギャモンに向かって叫んだ。


「俺だって、テメーなんか大ッ嫌いだぁあ!!」

「ちょっと、カイトまで!!

何でそんなに子供みたいになってるの?!」

「アイツは好きじゃねぇ…………、それだけだ

ほら、とっとと行くぞノノハ!」





バックを持つと、歩き出すカイト。

ノノハは遅れまいと、急いで歩く。





「どうしたんだろう、ギャモンくん…………

何か変な気がするんだけど、カイトはどう思う?」



「さぁな。

とうとう頭が変になっちまったんじゃねーの?」




歩きながらもカイトは考えていた。


ルークがオルペウスリングを拒絶したことで、昔みたいなルークになった。

しかし、今まで行ってきた罪を償うためと言って世界中にある愚者のパズルの解放をはじめている。

たまに、解放の依頼が来るが、ノノハだけは連れていかないと後で痛い目に遭うとわかっている。



それが、ギャモンには筒抜けだ。

おそらく、POGの幹部(ダイスマン)によって聞き出したンだろう。

一時とはいえ、POGの幹部であったからだろう。





「ねぇ、ギャモンくんも次は連れていってあげたら?

そうしたら、もう、頭突きされないと思うんだけど…………」

「ダメだ。

アイツがいると調子が狂う」


ギャモンは愚者のパズルに連れてはいけない。

愚者のパズルを解けなかったら、ソルバー(解答者)は命を失う。

本来は、ファイブレインの子供の成長を著しく上げるためらしいが、大変危険なパズルだ。

そんな、パズルにギャモンを………………


「アイツは、ダメなんだよ…………」


ギャモンには、家族がいる。

アイツは、たった一人の家族のためにパズルをして、養ってきた。

それほど、アイツは強面だけど、優しい。

それを知ったとき、ギャモンに俺は抱いてはならない感情を抱いてしまった。

ギャモンのことを考えると、頭や胸がいっぱいになる。


楽しくて苦しくて、辛い。

男なのに、馬鹿みたいだよな?

男が男を好きになってしまうなんて。

だからこそ、アイツを死なせたくない。

愚者のパズルには、連れていけないー……。





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