Devil May Cry
□Pride or Soul【U】
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バージルが居候をはじめてた翌日。
俺はソファーで寝たんだ。
バージルの寝るベッドへ行けば何をされるかわからねぇからな。
だけど、俺はずしりと腹の上に重みを感じて起きたんだ。
「……ん……何だ?」
「…チッ、この愚弟めが。
まだ寝てれば良かったものを……」
「バッ、バージル?!
何で顔が近いんだよ!!」
俺が瞳を開けると目の前まで迫ってきたバージルの顔。
そして、その状況はバージルが俺に覆いかぶさるようにしてキスをしようとしていたのだ。
「目が覚めたのならいい。
朝食だ」
キッチンから香ばしいくトースティングされたパンに黄色く輝くスクランブルエッグ、さらには、鮮やかな色が映えて美しいオブジェのようなサラダ。
何だよ、コレ。
「お前、朝食作ったのか?」
「貴様が全く良い生活をしていないと知った。
雑誌をピザの皿変わりに使うなど、外道。」
「ちょ………、外道ってないだろ?」
「いいから座れ
冷めるとせっかくの味の質が落ちる」
有無を言わさず座らせられた。
バージルや俺はいただきますも言わずに食べる。
普通の家だったら、神に祈りを捧げて食材に感謝してから食べる。
だが、俺達は悪魔の血が流れている。
母はそれを承知しているためそんなことはせず、普通に食べさせていた。
悪魔が神に感謝するなんておかしな話だ、と親父に言われたっけ?
だから、せめて食材だけには感謝していただきますは言うようにしていた。
母が殺される時までは。
今は、母のことを思い出して泣いてしまいそうだから、基本的に言わない。
ただ、母の誕生日とかそのあたりは言う。
厳しい母だったが、何処かで笑って許してくれると俺達双子は誓い合ったんだ。
「………美味いな」
「愚弟が。
俺が作った料理がマズイはずはなかろう」
「そうかいそうかい」
悪態をつきながら食事をする。
こうして兄弟でテーブルに皿を並べて食べたのはいつ以来だったか……。
多分、きっと、2・3年は過ぎてるだろうな。
懐かしい。
バージルと過ごすなんて、本当に久しぶりだ。
「何だ貴様、気持ちの悪い顔になって……」
「昔からこんな顔だ、オニィチャン」
悪態つきながらも手は止まらず、朝食を堪能する。
こんなに懐かしいのは何でだろうな。
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