ファイブレイン
□恋人マフラーをしよう
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季節は冬。
山を彩っていた紅葉は落ち、声を響かせていた虫の音も聞こえなくなった。
「うぅ〜っ、さみぃ!」
頬にかかる風が冷たい。
カイトは、首を引っ込めた。
少しでも、風を防ぐためだ。
「よぅ、カイト!」
「オッス、ギャモン…………革ジャンて寒くねぇのか?」
「あー、さっきまでヘルメット被ってたから少し暑いくれぇだな?
今はなんともないぜ?」
バイクを引いたギャモンがカイトに近寄ってきた。
ギャモンとは同性だが恋人だ。
付き合って結構経つ。
いつもの登校風景だが、ノノハがいない。
「ノノハはどうしたんだ、カイト?」
「この寒さで風邪引いて寝込んでるぜ」
「…………そうか。お前も風邪引くなよ?」
「そっくりそのまま言い返すぜ。
ま、ギャモンが風邪を引いたら看病しにいってやるよ//////」
カイトの優しさが時には可愛いと思う。
好きなヤツに看病されるなんて幸せ過ぎる。
「俺の時も看病しに来いよ、ギャモン!」
「その時は優しく看病してやるよ
それより、ほら、これ使え」
ギャモンはカイトの首に手をかけた。
よく見れば、ギャモンの手にはマフラーが握られており、カイトにマフラーを着せたいようだった。
「マフラー持ってたのか?
…………ってか、長っ!!!!」
「おぅ。
あー、長ぇのはこーするしかねぇな」
ギャモンは残りを自身の首に巻いた。
カイトは後で気づいたが、これは俗にいう恋人マフラーではないか?と。
「やめろよ、ギャモン!
登校中だぞ!!!!」
「良いじゃねぇか?
登校中だからこその恋人マフラーだろ??」
ギャモンはカイトの言葉に速答するなり、すぐに手を繋いだ。
カイトはそれを最初は拒んでいたが、大人しくなった。
カイトだって好きな人と手を繋いだりしていたかったんだろう。
(念願の恋人マフラーが出来たぞっ、ミハル!)
このマフラーは妹であるミハルの協力のおかげである。
報酬は、夕食を好物だけにすること。
でも、今は、こうしていたい。
恋人マフラーの余韻につかっていたい。
END
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