ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜
□来襲
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次の瞬間、夜叉神が大きく空振りをした。
いや、正確に言うと夜叉神が夜トではなく、何もない夜トの横を斬ったのだ。
(…!今空振りした⁉ワザと⁈)
(夜トっ!)
あたしの声と同時に夜トは剛器を振り上げた。
ガッ…
鈍い音。
夜トは夜叉神の面を斬った。
パキィ…
面が割れる音がした。
割れて落ちる面の中から
…とても美しい顏。
般若の面とは正反対の優しい目。
そして額からは赤い血が流れ出していた。
「…おのれ…」
…そう言って夜叉神はあたし達の前から姿を消した。