ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜

□名前
2ページ/2ページ

「オレの名はエビス小福の神器、大黒だ。」


エビスって…あの七福神の1人のエビス様あっ⁉
想像してたのと全然違う…か、カワイイ神様だな…

あたしは、崇めるように小福さんを見た。



「こいつは器は白(ハク)、名は白(しろ)。」


「白音です…」


「で?何の用だ?」


「しばらくここでこいつ預かってくれ。」


えっ…⁉





「こぉんの…ボォケがあああっ‼犬や猫じゃねーんだ‼大体、住所不定無職のクセに、神器2人も使ってんじゃねー‼養えねーなら名前つけるなぁああああ‼」


「こ、これには色々ふかぁい訳があるのだよっ‼」


「お?言ってみろ?言ってみろ‼」



ぎゃあぎゃあっ…




あたしも、寝耳に水だった。
ここに連れて来られたのは…足でまといだったからなんだ…。



「なんか…すみません…。」



あたしは泣きそうになるのを堪えながら、小福さんと大黒さんに謝った。



「べ、別に白音のせいじゃねぇ。元はこの甲斐性無しがだなぁ…」

「そぉだよぉっ?白りん、気にせずここにいていいよぉっ☆」


「すみません…」


「白りん、女の子だもん!お社もない野宿ばっかりさせる神様のトコなんかにいたら、死んじゃうよぉっ☆」


「こ、小福…何気にひでぇな…大体、こいつもう死んでるだろ。」

「てめぇ、今ウチのカミさんバカにしたなぁっ‼」




こうして、あたしはしばらく小福さんの所にお世話になることになった。




夜ト曰く、


「色々考えがあんだよ。最近時化もひでぇし、こいつは武器になんねぇんだよ。…一応女だし小福んとこのが、良いと思ったんだ。」


夜トは夜トなりに考えがあるとの事で、小福さんの勧めもあって大黒さんは了承してくれた。

とりあえず、この時化が収まるまでとの約束で。






「白音って良い名前だよね!」


「あ、ありがとうございます。」


「確かに夜トにしちゃ良い名前つけたな。」


「…白りんて、名前何処についてるの?」


「えっ…」


そういえば…


小福さんはいきなりあたしのシャツを覗いた。


「あ!谷間だっ☆」


「‼」


「おい…夜ト。おめぇ…。」


「いや、知るか‼名前付くとこなんざ、オレが知るワケないだろっ‼」


「やだぁ‼夜トのセクハラ!」


「剛音ぇ‼」




自分でも気づかなかっただけに、胸の谷間に名前がついてるなんて、ものすごく恥ずかしくなった。


「でも、谷間だけど…ちょうど心臓の上についてるカンジだよねっ☆」


そう言って小福さんはニッコリ笑った。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ