ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜
□名前
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「オレの名はエビス小福の神器、大黒だ。」
エビスって…あの七福神の1人のエビス様あっ⁉
想像してたのと全然違う…か、カワイイ神様だな…
あたしは、崇めるように小福さんを見た。
「こいつは器は白(ハク)、名は白(しろ)。」
「白音です…」
「で?何の用だ?」
「しばらくここでこいつ預かってくれ。」
えっ…⁉
「こぉんの…ボォケがあああっ‼犬や猫じゃねーんだ‼大体、住所不定無職のクセに、神器2人も使ってんじゃねー‼養えねーなら名前つけるなぁああああ‼」
「こ、これには色々ふかぁい訳があるのだよっ‼」
「お?言ってみろ?言ってみろ‼」
ぎゃあぎゃあっ…
あたしも、寝耳に水だった。
ここに連れて来られたのは…足でまといだったからなんだ…。
「なんか…すみません…。」
あたしは泣きそうになるのを堪えながら、小福さんと大黒さんに謝った。
「べ、別に白音のせいじゃねぇ。元はこの甲斐性無しがだなぁ…」
「そぉだよぉっ?白りん、気にせずここにいていいよぉっ☆」
「すみません…」
「白りん、女の子だもん!お社もない野宿ばっかりさせる神様のトコなんかにいたら、死んじゃうよぉっ☆」
「こ、小福…何気にひでぇな…大体、こいつもう死んでるだろ。」
「てめぇ、今ウチのカミさんバカにしたなぁっ‼」
こうして、あたしはしばらく小福さんの所にお世話になることになった。
夜ト曰く、
「色々考えがあんだよ。最近時化もひでぇし、こいつは武器になんねぇんだよ。…一応女だし小福んとこのが、良いと思ったんだ。」
夜トは夜トなりに考えがあるとの事で、小福さんの勧めもあって大黒さんは了承してくれた。
とりあえず、この時化が収まるまでとの約束で。
「白音って良い名前だよね!」
「あ、ありがとうございます。」
「確かに夜トにしちゃ良い名前つけたな。」
「…白りんて、名前何処についてるの?」
「えっ…」
そういえば…
小福さんはいきなりあたしのシャツを覗いた。
「あ!谷間だっ☆」
「‼」
「おい…夜ト。おめぇ…。」
「いや、知るか‼名前付くとこなんざ、オレが知るワケないだろっ‼」
「やだぁ‼夜トのセクハラ!」
「剛音ぇ‼」
自分でも気づかなかっただけに、胸の谷間に名前がついてるなんて、ものすごく恥ずかしくなった。
「でも、谷間だけど…ちょうど心臓の上についてるカンジだよねっ☆」
そう言って小福さんはニッコリ笑った。