ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜
□私は神です
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「剛音さん。」
「やん!剛ちゃんて呼んで☆白ちゃん☆」
「…あ…ははは。じゃあ、剛ちゃん。剛ちゃんは何故、夜トの神器に?」
「あたしぃ?あたしは夜トがあたしに…ひ、と、め、ぼ、れ☆」
「あ、そうなんですね…」
思わず、目をそらしてしまった。
「剛音ぇ‼きめぇ事言うな‼」
夜トは随分先を歩いていたのに、以外と耳がよろしい事で。
「白ちゃんは…見た所、17歳位かしら?色が白くて、ほんと初めて見た時、雪の精かと思っちゃったわ。綺麗な顔立ちしてるから、生前はモテたんじゃない?」
「色…白いですか?顏…そんな顏ですか?あたし、17位なんだ。」
「ちょっと、チョットぉ‼あなた、自分の顏まで忘れちゃったわけぇ⁈」
「はは…あたしホント何も覚えてなくて。気がついたら、夜トの神器になってたって感じで。」
「でも、白ちゃん、あなた制服着てるじゃない?私たち神器は、神器成り立てなら初めに白い着物を着ているものよ?あなた、誰かの神器だったんじゃないの?」
「…よく、分かりません。」
あたしが神器だった?
誰の?
「でも、名前も無かった所を見ると、ちゃんとした神様の所にいたみたいね。」
「そうなんですか?」
「そうよぉ。ちゃんと名前を消して放ってくれてるじゃない。じゃなかったら、白ちゃん野良だったんだから。ま、うちの主は野良でも何でも使うゲテモノだけど☆」
「剛‼聞こえてるっつてんだろ‼」
「あー、ハイハイ。言葉がすぎましたぁ」
「………」
2人は仲悪いのか?
でも…剛ちゃんに色々言われるまで分からなかったけど…あたし、ほんとに何も覚えてないんだな。
あたしはこの2人についていく位しか、今は何もできないんだ。
不安な気持ちで空を見たら、冬の冷たい空気と昼下がりの綺麗な青がやけに目に焼き付いた。