ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜
□嘘
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(夜ト!どうしてここが⁈)
あたしは夜トに名前を呼ばれ神器の姿になっていた。
「このオレ様に分からない事は無いっ☆」
(何、ドヤ顏してんのよ。寿老人のお陰でしょ!)
「おい!剛音!ソッコーバラすなよ!」
(寿老…?)
あたしは何がなんだか分からない状態だったが、でもこの場に2人が来てくれてホッとしていた。
「とりあえず詳しい話は後だ。相手さん、随分お怒りのようだぜ…」
そう言って夜トは剛器を構えた。
どうやら安心している場合じゃないらしい。夜叉も劔を構えていた。
「またしても邪魔をするのか…夜ト神」
「コイツはオレの神器なんでね。渡すワケにゃいかねーな」
「ならば、力ずくで奪うまでだ!」
そう言って夜叉は劔を振り下ろした。
「見た目と違ってやる事は随分手荒いじゃねーか…死神!!」
「横取りするような者に礼儀なぞ必要あるまい?」
「しつけー男は嫌われんぜ!」
そう言って夜トは死神の劔を跳ね返した。
(夜ト、今日は調子いーじゃない!)
「うるせ!いつもと同じだ!」
(夜ト、剛ちゃん…このまま夜叉と戦っても…)
「…っ!」
夜トは死神の攻撃に無言で応戦していた。いくら夜トが強いといえど、死神は楽な相手ではない。
それは白音が見ていても分かった。
「…無駄じゃねぇ」
(え?)
「ここでヤツを斬っても無駄じゃねぇよ。また代替わりしてヤツがお前の事襲ってきても、そん度にオレと剛音でお前の事守ればいいだけだろ!!」
(!)
夜トはそう言って死神の左腕を斬った。
「くっ…!」
「わりぃが、今日のオレは調子いいぜ。」
「…ならば(内)から崩させてもらうぞ」
そう言って死神は左手を白器にかざした。
チリン…
次の瞬間、白音の耳に鈴の音がこだました。
ドクン…ドクン…
白音は自分の鼓動が速くなるのを感じた。
(あ…ああ…っ!)
「白音⁈」
(胸が…苦し…っ)
「…!?くっ…」
白音が苦しむのと同じく、夜トにも変化が現れた。
今まで何も感じなかった剛器がかなり重く感じた。
(夜トっ⁈白ちゃん⁈)
「オレは何でもねぇ…。白音っ…!」