ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜
□迷い
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「ごちそうさまでした。」
「美味しかったぁ?」
「はい!」
あたしは満面の笑みで頷いた。
みんなでこんな風にご飯を食べるなんて思ってなかったな。
夜トはちゃっかりビールなんか飲んじゃって、すっかり出来上がっていた。
「白りんは神器初めてなのぉ?」
「はい…(多分…)」
「初めてが夜トちゃんとこって、ヘビィだねぇ。女の子なのに。」
「あはは…。そうですね。」
小福さんは、少し?天然なカンジで笑うととてもカワイイ神様。
制服もよく似合って…ん?制服?
「小福さんて、カワイイ制服着てますね!」
「これぇ?コスプレだよぉ☆」
コス…
「白りんも、その制服カワイイよねっ☆清華女子の制服だよねっ。」
「えっ…」
⁈
「おい、小福‼今、何つった⁉」
「?カワイイ制服だね?」
「その後だ‼」
「そういや、白音の制服…そこの女子高のだな。」
大黒さんも知っているようだった。
「清華女子…」
「?どうしたのぉ?」
「小福の小娘、白ちゃんは生前の事、全然覚えてないのよ。」
「そうなんだっ!確か、そこの女子高がその制服に変わったのって、五年前だったような…。」
「白ちゃん…」
あたしは動揺を隠せないでいた。
過去五年の卒業アルバムに、あたしがもしかしたら写っているかもしれない。
そしたら、あたしの生きてた頃の事が分かるかも知れない。
…なぜ、死んだのかも。
知りたい。
知りたくない…。
複雑な気持ちで胸が張り裂けそうだ。
その時、夜トが複雑な顏をしていた事も
あたしは気づく余裕さえも
無かった。